研究課題/領域番号 |
24501170
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研究機関 | 富山高等専門学校 |
研究代表者 |
成瀬 喜則 富山高等専門学校, 国際ビジネス学科, 教授 (00249773)
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研究分担者 |
宮地 功 岡山理科大学, 総合情報学部, 教授 (30043722)
早勢 欣和 富山高等専門学校, 電子情報工学科, 准教授 (60238144)
栂 伸司 富山高等専門学校, 商船学科, 教授 (90270248)
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キーワード | 学習教材 / ロボットトレイン / 意思決定 / 課題解決型学習 / 学習デザイン / 学習データ保存 |
研究概要 |
本年度の研究目的は,(1)同一の教材を使って長期間にわたる学習が可能となる学習デザインを開発すること,(2)遠隔地からロボットカーやロボットトレインを制御しできる学習教材システムを開発すること,(3)学習データを蓄積して検索することができる簡易データベースを開発することである. まず,意思決定方法を学習することをテーマにした学習教材の開発と学習デザインの提案を行った.歴史的に有名な出来事をテーマとして,当時の技術と現在の技術の違いに着目して,総合的な考察から意思決定を行う方法と,意思決定手法を使って数量的に意思決定を行う方法の2つで考察を行う授業実践を行った.前者は小学校や中学校で行うことができる手法であり,後者は高専の高学年で行うことができる手法である.これによって,テーマが同一であっても学年に応じた学習が可能であることがわかった. 次に,現在開発中のロボットトレインを活用して,エネルギーについて考えさせる授業実践を試行した.いくつかの走行の様子を見て,消費エネルギーや安定性などの観点から評価させた.このような実践を通して,企画力や課題発見能力が身につくことがアンケートからわかった. さらに,このような学習データを蓄積できるデータベースシステムを開発した.教員がデータを取り出しやすいようなシステム作りが今後必要である. ロボットトレインは遠隔制御になっている.まだ,学内での実験レベルであるが,学外からのアクセスも可能になるように検討している.小学生や中学生がネットワークからアクセスして,ロボットトレインの実験環境を利用することができるようにすることが目的である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
長期間にわたる学習が可能となる学習デザインの開発を行った.まず,意思決定が必要となる課題を学習者に提示した.中学生あるいは低学年高専生が取り組むことも可能であり,グループ活動によって解決する課題を提案した.その課題に対しては,高学年高専生は意思決定法を利用することによって解決する形態とした.今年度は同一の学習者に,両方の形態で学習させ,アンケートを通して評価した. 教材の長期利用を行うためには,学年に応じた課題が必要である.中学生向けの課題と高専生向けの課題を作成した.その結果,同一教材を使って低学年向けと高学年向けの授業をすることが可能となることがわかった. ロボットカーを改良した教材(ロボットトレイン)については,遠隔制御を可能にすることにほぼ成功した.Web上から制御データを無線で送信して受信側のコンピュータによって電圧,電流などを制御し,ロボットトレインが走行する形を取っている.走行プログラムは一つずつ処理する形を取っているため,一つのプログラムが終了すると,ロボットトレインはスタート地点に自動的に戻り,次のプログラムを実施する形態となっている.また,非接触型の充電も可能になるように設計した. さらに学習データを蓄積して,必要に応じて取り出しができる簡易データベースやeラーニング教材を作成する環境も整えてきている. 以上の理由から,おおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
1.ロボットカーを改良したロボットトレインを外部から完全に制御できるようなシステム改良を行いたい.これによって,たとえば,中学校や小学校など外部機関からインターネットを使ってロボットトレインを制御できることになり,学習データを収集することが容易になる.できるだけ多くの学習成果データを使って,いろいろな学習場面で活用できるようにしたいと考えている. 2.ロボットカーおよびロボットトレインを使った共同学習実践を継続して行い,教育効果をさらに上げる改善を試みる.この教材を使った学習課題についてさらに検討を進めたい.小学生あるいは中学生が取り組める課題を提示し,その学習データを高専生が利用して検討する学習デザインの構築ができるように研究を進めたい. 3.ブレンディッドラーニングによる学習方法について検討を進める.教材をweb上で作成して,遠隔操作もしながら自主的な学習ができるような環境作りに努める. 4.海外教育機関(英国やシンガポール等)とも継続的に教育実践方法について協議して,共同学習を進める.海外教育機関からはロボットトレインについて大変興味関心を得ているために,具体的な学習デザインについて検討していきたい. 5.最適な教育実践について論文にまとめる.
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次年度の研究費の使用計画 |
3月に購入した物品の一部(20,397円)が4月支払になったために,次年度使用額が生じた. 平成25年度分はすでに執行済みである.平成26年度は当初計画通り執行する予定である.
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