研究課題/領域番号 |
24501171
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研究機関 | 独立行政法人大学入試センター |
研究代表者 |
椎名 久美子 独立行政法人大学入試センター, 研究開発部, 教授 (20280539)
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キーワード | 問題解決過程 / 誤答分析 |
研究概要 |
本研究の目的は,情報把握力,論理的思考力,分析力,問題解決力などの高次の知的能力を測定しようとする試験の解答方略の分析を通じて,各設問の正誤や解答方略と関連の深い能力を明らかにすることである. 今年度は,高校までの数学では習わない三面図(正投影図)を提示して構成面の表面積を問う多肢選択式問題に着目して,誤答傾向やセンター試験の数学との関係を分析した.多肢選択式問題は,三面図の読み方についての説明を加えて,専門的知識を前提とせずに解答できるように作成したものを用いた.中国の大学入学統一試験(北京版)の数学の問題を参考にして,日本の高校の数学では扱わない三面図(正投影図)を題材とする多肢選択問題を作成して,日本の大学1年生に解答させた. 誤答傾向からは,三面図の中で線分としてしか表現されていない面の存在を理解して形状を把握するのが難しいことが示唆された.また,三面図の問題の正誤は,日本のセンター試験の数学得点と有意な関連がみられることが示された.同じ問題を,別の集団(図法幾何学を受講する前の大学1年生)に対して解答させた調査も実施して,受講前の誤答傾向や解答方略が,図法幾何学という新たな知識の修得と,どのような関係にあるのかを今後分析する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高校までの数学では習わない三面図(正投影図)を提示して構成面の表面積を問う多肢選択式問題に関する誤答傾向やセンター試験の数学との関係について得られた知見をまとめて,日本図学会2013年度秋季大会で口頭発表して,研究者との意見交換に努めた.
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今後の研究の推進方策 |
同じ問題を,別の集団(図法幾何学を受講する前の大学1年生)に対して解答させた調査データについて,受講前の誤答傾向や解答方略が,図法幾何学という新たな知識の修得とどのような関係にあるのかを分析する予定である.また,平成26年8月に開催される第16回図学国際会議(The 16th International Conference on Geometry and Graphics)で成果を口頭発表する予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究遂行に必要な物品の購入をすべて済ませたところ,残額が発生した. 平成26年8月に開催される国際会議に出席して成果を発表するための旅費の一部として使用する.
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