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2013 年度 実施状況報告書

高齢者向けパーソナルコンピュータ・インストラクショナルデザインの最適設計指針開発

研究課題

研究課題/領域番号 24501172
研究機関東北大学

研究代表者

和田 裕一  東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (80312635)

研究分担者 窪 俊一  東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (50161659)
キーワード高齢者 / PCリテラシー / 情報教育
研究概要

本研究は,高齢者のパーソナルコンピュータ(以下,PC)使用に対する態度や,操作上のつまずきの特徴を分析することで,高齢者ユーザーのためのわかりやすいPC 操作インストラクショナルデザインの設計指針を提案し,その効果検証を行うことを目指すものである。
平成25年度では以下のことを行った。
1.前年度に実施した「コンピュータの使いやすさ」に関する調査を発展させ,PC講座に参加した60歳以上のPC初心者を対象に,高齢者がコンピュータを使いこなすために重視している要因を,構造化分析手法であるDEMATEL法を適用した分析から検討した。結果から,高齢者がPCを学習することによって,PCを使いこなすために必要な要素に対する認識が変化する可能性が示唆された。高齢者に対してコンピュータ教育を行う際,教える側がこのような変化についてのあり様を把握しておくことは,教育・指導を効果的に行う上で重要な情報になると考えられる。
2.個人の考え方の好みである思考スタイル(Sternberg, 1997)がユーザーのPC操作スキルやPCへの態度に影響を及ぼす影響について,国内在住の20歳以上のPCユーザー800名(男性400名,女性400名,平均年齢43.73歳)を対象とした質問紙調査により検討した。結果から,先行研究でPCに対する態度との関連が認められた思考スタイルの数(13種類の下位尺度中の4種類)に比べて多い,9種の思考スタイルがPC態度尺度の下位因子と関連することが示された。この結果は,思考スタイルが情報教育場面で考慮されるべき個人差要因の1つとなりうることを示唆しており,これまでほとんど明らかにされてこなかった情報教育場面における適正処遇交互作用の問題に一石を投じる知見であるといえる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

高齢者ユーザーのためのわかりやすいPC 操作インストラクショナルデザインを探る上での基礎的資料となる、高齢者ユーザーのPC操作の認識のあり方や、ユーザーの性格特性(本研究では思考スタイルに焦点を当てている)と関連する個人差の問題に関しては、これまでの調査からある程度の有益な知見を得ることが出来ている。また今年度は、共同研究者の協力を得て、実践研究の取組みの一環として予定しているPC講座の予備的試行という位置づけで、10数名のPC初心者(半数以上が60才以上の高齢者)を対象に、講習会(毎週1回2時間、期間約1年)を継続的に開催することができた。ここでのノウハウは、次年度に予定しているPC講座を実施、運営していく上で貴重な情報源となった。

今後の研究の推進方策

次年度は本研究プロジェクトの最終年度であり,以下の点に加えて,本研究の最終的なとりまとめを行う。
・これまでの調査の結果を集約して,高齢者PCユーザーのPCに対する態度や認知特性についてとりまとめる。
・初学者、初心者の高齢PCユーザーを対象としたPC講座を開講し,PC操作の習得過程やつまずきの特徴などを定性的,定量的の両側面から捉えるべく,インタビュー、参与観察、アンケート調査等を行う。
研究を遂行する上での課題
・PC講座の実施にあたっては,カリキュラムの整備に加えて,対象者の選定や講習会場ならびに機材の手配等,多くの副次的な調整作業が必要となる。これらの作業をなるべく円滑に進めるために,地域の高齢者関連団体に支援を要請し,その具体的な内容に関して協議している。

次年度の研究費の使用計画

PC講座開講のための会場や使用機材の手配に予想外の時間を要し,講座で使用する備品等の発注を次年度に見送ったため。
PC講座で使用するディスプレイ(現在使用可能なノートPCの画面は非常に小さいことから,比較的大型の画面を有する外部液晶ディスプレイを用意する)や,そこでの活動記録のための各種機材の購入ならびに,講座の運営をサポートしてもらうスタッフの人件費等に使用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 現代版PC態度尺度改訂の試み―ワーディングの修正による影響―

    • 著者名/発表者名
      落合 純・河野賢一・和田裕一
    • 学会等名
      東北心理学会67回大会
    • 発表場所
      仙台
  • [学会発表] コンピュータを使いこなすために必要な要素に対する高齢者の認識-学習経験に伴う認知構造の変容-

    • 著者名/発表者名
      河野賢一・落合 純・和田裕一
    • 学会等名
      日本心理学会77回大会
    • 発表場所
      札幌
  • [学会発表] 思考スタイルとPCに対する態度の関連性

    • 著者名/発表者名
      落合 純・河野賢一・和田裕一
    • 学会等名
      日本心理学会77回大会
    • 発表場所
      札幌

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公開日: 2015-05-28  

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