研究課題/領域番号 |
24501173
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
窪 俊一 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (50161659)
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研究分担者 |
和田 裕一 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (80312635)
三浦 知志 東北大学, 情報科学研究科, 博士特定研究員 (20583628)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | マンガ / 電子書籍 / デジタル教科書 / メディアリテラシー / 認知心理学 |
研究概要 |
本研究は、デジタル・メディア環境の急速な変容にともなう情報提示端末を使用した「読み」について、メディア・リテラシーおよび認知心理学の観点から、その変化・特性を実証的に考察しようとするものである。その際、現代の視覚メディアの代表であるマンガを主たる対象とし、その「読み」が、パソコン、インターネットやケータイ、iPod・iPad・Kindle などの携帯情報端末・タブレット型PC の登場、電子書籍に代表される書籍のデジタル化にともない、どのように変化しているのか、どのような影響を与えているのかを、「電子黒板」や「デジタル教科書」も視野に入れつつ検証しようとするものであり、平成24年度は以下のことを行なった。 1.マンガの「読み」の歴史およびマンガ表現研究史をまとめた。その際、現代の重要なメディアであり、ケータイで読まれる電子書籍の大半を占めると言われるマンガを我々はどのように読んできたのかを検証した。「マンガ表現論」の中で、しばしばマンガの「読み方」・「視線誘導」などが問題とされ、また、認知心理学の見地からマンガ読書における「眼球運動」についての研究も存在する。本研究では、まずこれらの研究の現状をまとめるとともに、まだ十分に解明されているとは言えない戦前までのマンガの「読み方」を補完することを試みた。 2.マンガ読書における視線解析プロジェクトを作り、特に認知心理学からのアプローチとして、マンガを対象とした空間認識の検証を試み、学会誌に発表した。 3.デジタル教科書を分析するために、平成23 年度から、新学習指導要領にともない改訂された新しい教科書のデジタル版を入手し、これらのデジタル教科書を従来の教科書と比較しながら、両者の相違・特色を明らかにし、次年度の研究の準備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
マンガを対象とする研究を、共同研究者(認知心理学)および学生の協力も得て、精力的に実施し、マンガにおける空間表現の実証的研究、注意の文化的差異などの研究を実施することが出来た。また、電子書籍の読みに関しても、学生を対象とした調査を実施することが出来た。デジタル教科書に関しては、実際に使用している教員との研究会などを通して、意見交換などが可能となっており、次年度以降の研究にも進展が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
今後以下の研究を継続して行なう予定である。 (1)マンガの認知心理学の研究では、引き続きマンガを対象として、今まで経験的に語られることの多かった表現の特性を、実証的に考察することを試みる。 (2)電子書籍の「読み」に関しては、今後、視線解析装置なども使いながら、その特性を検証すると同時に、大学生を対象とする調査を実施する予定である。 (3)デジタル教科書に関しては、現場の教師の協力が得られる見込みであるので、実際の授業観察などを通して、検証作業を行なえるものと思う。
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次年度の研究費の使用計画 |
・検証作業を実施するには、実際の大量のマンガを対象とする分析が必要となるため、そのためのデータ収集・解析作業を実施するための謝金が必要となる。 ・学会等での発表を予定しているので旅費が必要である。 ・今年度使用した視線解析装置などを補完する必要があるため、そのためのソフトなどを購入予定である。 ・電子書籍リーダーが数多く販売されているので、昨年度に引き続き購入する予定である。
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