研究課題/領域番号 |
24501177
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
山口 しのぶ 東京工業大学, 学術国際情報センター, 教授 (40345369)
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研究分担者 |
小野寺 純子 東京工業大学, 学術国際情報センター, 産学官連携研究員 (00599714)
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キーワード | 情報技術と教育 / 国際開発 / モンゴル / 教育開発 / 教育分野における情報インフラ |
研究概要 |
本研究では,情報技術(ICT)の導入がモンゴルにおける教育開発分野の発展にどのように貢献できるかに焦点をおく.具体的には,モンゴルの地方の小学校を中心にアンケート調査,実際の使用者への聞き取り調査および,関係者間のラウンドテーブルを通じて,①教育現場へのコンピューターを含むICT導入の現状分析,②現地の学校および教員のニーズおよびインフラに関する調査,③インフラとコストを考慮した導入可能な情報技術に関する検討・考察,④ICTを利用した授業の形態と位置づけの分析,⑤現地政府,研究所との共同による,ICTを活用した教材の試行とその評価実施,⑥ICT導入後の持続可能性について技術面,文化面, 人材面からフィージビリティー分析を実施することを目的とする.今年度の研究実績は、アジアにおける情報技術と教育の質に関する背景調査と分析として,UNESCOバンコク地域事務所,UNESCO本部教育局ICT課にて文献調査および聞き取り調査を実施し,教育開発が直面している問題,開発手法について整理した.更に,モンゴルでのアンケート調査およびアセスメントとして,モンゴルの5県において小学校教員および学校長130名を対象とし,教育現場におけるICTの導入の現状について調査した.現在データの分析を実施している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に明記されているように,具体的な研究活動6項目中,3,4項目にあたるデータ分析を中心に研究を実施した.研究計画上二年目の活動は計画通り実施された。モンゴル初等教育におけるICT導入にかかるデータ分析は、1)都市vs.僻地,性別,年齢別による教育の質の向上に関する比較分析;2)基本インフラの状況;3)教材のデジタル化の現状;及び4)研修制度の確立および運用について,の各方面から分析された.同時に、4か所の小学校の教員(569名)を対象とし,教員のICT活用の現状の調査も実施した.分析結果は日本開発学会(大阪, 2013 ),Comparative and International Education Society (Toronto, March 2014)にて発表された.
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今後の研究の推進方策 |
二年間の調査結果を踏まえたうえで,モンゴル国の教育開発分野での情報技術導入の要件について整理を行い,導入の可能性について検討を行う.具体的には:1)現地における地域の既存のICT使用機関や,地方行政との協力体制等を把握する;2)教育開発の計画プロセス,実施において、情報技術の導入がどのような影響を与えるかの分析を行う;3)また、こうしたプロセスを通して,地域開発による負のインパクトの存在及び,また,それがどのように抑制されうるか現地での聞き取り調査通じた検証を行う.更に3年間の研究成果を整理し,教育開発と情報技術開発に関する国際会議・シンポジウム等において,本研究で開発したモデルを発表する.海外の諸事例との比較検討や,UNESCO関係者や研究者との討議を通じて,開発したモデルの実効性を検証し,更なるモデルの改善を行う.UNESCO,東工大共催の公開シンポジウムを行うと共に,研究成果の現地への還元を行う.
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