研究実績の概要 |
本研究では,情報技術(ICT)の導入がモンゴルにおける教育開発分野の発展にどのように貢献できるかに焦点をおいた.具体的には,モンゴルの地方の小学校を中心にアンケート調査,実際の使用者への聞き取り調査および,関係者間のラウンドテーブルを通じて,①教育現場へのコンピューターを含むICT導入の現状分析,②現地の学校および教員のニーズおよびインフラに関する調査,③インフラとコストを考慮した導入可能な情報技術に関する検討・考察,④ICTを利用した授業の形態と位置づけの分析,⑤現地政府,研究所との共同による,ICTを活用した教材の試行とその評価実施,を実施した.ICTを活用した教材の試行は,Scratchというオープンソースのプログラムを活用し,教員の教材開発用に応用しマニュアルを作成した.モンゴルでのアンケート調査およびアセスメントとして,モンゴルの5県において小学校教員および学校長130名に対し,教育現場におけるICTの導入の現状について調査した。回帰分析による結果からは,①教員のICTの活用は,主に1)教員間・地方政府教育専門家とのコミュニケ‐ション,2)授業の準備に確認された;②コミュニケーションにICTを活用する際に影響している要因としては,学校のロケーション、学校と自宅におけるインターネット接続の有無,学校からのサポート,年齢,学校における地位,などが挙げられる;③授業の準備にICTを活用する際に影響している要因としては,学校のロケーション,学校からのサポート,情報技術に対する理解,研修参加の経験,コンピューターを使用している時間数,などが挙げられた。以上の結果は,モンゴル国立教育大学を通じて,今後の地方の小学校での教員研修の開発及び、実施に重要な分析結果として活用される予定である.
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