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2012 年度 実施状況報告書

全方位映像を用いたリスク知覚向上教育デザインの開発

研究課題

研究課題/領域番号 24501180
研究種目

基盤研究(C)

研究機関長岡技術科学大学

研究代表者

岡本 満喜子  長岡技術科学大学, その他の研究科, 准教授 (20610778)

研究分担者 中平 勝子  長岡技術科学大学, 工学部, 助教 (80339621)
北島 宗雄  長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (00344440)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード交通安全教育
研究概要

本研究は、ドライバー目線での全方位映像を撮影し、プラネタリウムのドームスクリーンに360度の交通場面を投影し、臨場感を持った教育教材を開発することにより、運転者に交通状況及び適切な運転行動を理解させることを目的とする。しかし、プラネタリウムはこれまで主に理科や天文学教育に活用されているが、交通安全教育への活用例は見当たらなかった。このため、教材作成の前提として予備的にプラネタリウム上での交通場面の再現状態を確認し、撮影方法の検討、教育への活用が有効と思われる交通場面の選択を行う必要があった。
そこで平成24年度は実車に全方位カメラを装着し、交通ハザード(駐車場出入口、歩行者等)の多い道路の走行、右左折、交差点通過、後退等の交通場面を試験的に撮影し、映像を編集の上プラネタリウム上に上映した。
その結果、車両の走行速度が早かったり路面に大きな凹凸があると映像が数コマ飛んで不自然になるため、撮影時の路面状況や走行速度に注意が必要であること、降雨・降雪等悪天候時は撮影が困難であること、LED式の信号表示は点滅して再現されるため、撮影対象を電球式の信号とするか画像の加工が必要であること、公道での撮影は制約が多く、安全及び多様な交通場面の再現を考えると教習所等敷地内で実験映像を撮影することが望ましいことが判明した。また、全方位カメラの映像は、運転者の前方だけでなく後退時の後方の映像、歩行者・自転車等の側方通過時の車両横の映像は臨場感を持って再現できること、自動車のミラーは、iPad等でプラネタリウム内の後方映像を同時録画・再生することで再現可能であること、自動車運転席からの視界は、運転席からの視野に合わせて上映機器に紙等で覆いをすることで再現可能であることが確認された。
合わせて被験者となるタクシー会社の事故発生状況、教育実施上の課題も調査し、有効な教材開発の基礎情報も入手した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

平成24年度の研究により、実験映像の撮影に必要な条件(車両の走行方法、天候、撮影場所、留意が必要な交通場面)が明らかになった。また、これまでの平面動画では再現が困難であった後退時、側方通過時の臨場感を持った映像再生が可能であり、平面動画等他条件との比較実験を行うための手法も明らかにできた。また、実験協力を依頼しているタクシー会社での事故の特徴(後方確認不足による事故が多発)と、プラネタリウム映像を用いた教育を行う上で検討が必要な社内の課題(モチベーション向上や安全への意識の課題)も明らかとなった。当該タクシー会社の事故発生傾向は、今後の実験における交通場面選択の上で大きな意味を持つ。
しかし、平成24年度は比較実験の実施には至らなかった。その理由として次の点があげられる。まず、本研究で用いる全方位カメラ及びプラネタリウムは、連携研究者が保有し撮影・上映の技術を有しており、天候条件を考慮して日程調整の上、撮影・上映を行うのに日数を要した。
また、本実験で用いる映像の撮影は、当初公道で行う予定であったが、予備調査の結果、安全および再現可能な交通場面の多様性を考慮して教習所で行うこととした。このため、協力を得られる教習所を探し撮影の許可を得ること、許可が得られた日(月に1~2回)の中で、研究分担者、連携研究者と日程調整を行い、撮影日時を決定することにも時間を要した。
さらに、本実験の実施にはプラネタリウム(半径約2.5メートル)を設置する必要があるが、被験者となる会社内に設置することは困難が予想され、設置場所を検討する必要もあった。

今後の研究の推進方策

平成25年度は、教習所で全方位カメラ及び通常のカメラを用いて、交通場面の撮影を行う。撮影場所及び日程は決定済みである。この画像を用い、プラネタリウム(ドーム)画像、平面動画、静止画の実験映像を作成し、被験者の各交通場面に対する危険感、相手との距離感、速度感及び注視対象を測定、比較する。交通場面は提示方法(提示する画像)の違いを明確にするため、交差点通過、右左折、自転車の側方通過、後退、進路変更等幅広く予定している。被験者は都内のタクシー会社に依頼済みである。
上記により、ドーム画像を用いることが教育に有効と考えられる交通場面を抽出後、これらの場面における無事故者の注視行動、リスク認知の仕方を明らかにする。無事故者の特徴を明確にするため、事故多発者との比較も実施する予定である。これにより、望ましい注視行動やリスクの発見パターンを抽出する。このデータに基づき、プラネタリウム上の映像に望ましい走行速度、運転方法の他、注視すべき場所、順序、速さ等を表示し、模倣により無事故者の運転を身につけられる教材の開発を行う。
その後、当該教材の有効性の検証を行う。事故多発者に対し、シミュレータ等を用いて教育を行わない時点の運転行動を明らかにした後、同人の運転に対してフィードバックを行う。フィードバックは、運行管理者の言葉のみ、当該教材のみ、運行管理者の言葉と教材両方の3条件で行う。そしてその後のドライバーの運転行動の変化を観察し、いずれが最も有効な方法か検証する。また、教育実施後、時間が経過した後にも同様に運転行動の変化を確認し、教育効果の持続性を検証する。

次年度の研究費の使用計画

交通場面撮影のため教習所を貸し切りとする(1回当たり10万円。天候の都合上2回を予定)。
映像の上映を行うプラネタリウムはレンタルの予定である(直径5mのもので1回当たり5万円+輸送費。5回程度300,000円を予定)。なお、プラネタリウム(エアドーム)は当初購入予定であったが、ドーム取扱業者に確認したところ、予定していたエアドームはメンテナンスの費用が別途発生することが見込まれたこと、レンタルが可能であることが判明したため、購入はしないこととした。
消耗品として、映像等データを保管するHDD(125,000円)、長岡~和歌山、長岡~東京等の旅費(320,000円)、人件費(東京への全方位カメラオペレータ派遣等)50,000円、学会参加費100,000円を予定している。なお、平成24年度は予備的な映像の撮影と本実験映像の撮影計画まで行ったため、HDDは予定金額では購入せず、学会参加も平成25年度以降とすることとした。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2012

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 交通事故損害の「見える化」を用いた安全教育のモチベーション向上に向けた取り組み2012

    • 著者名/発表者名
      岡本満喜子
    • 学会等名
      電子情報通信学会 情報処理学会
    • 発表場所
      第11回情報科学技術フォーラム
    • 年月日
      20120904-20120906

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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