研究課題/領域番号 |
24501186
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
舟橋 健司 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00303694)
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キーワード | e-ラーニング / バーチャルリアリティ / 化学実験体験システム |
研究概要 |
本研究は、近年、普及してきているe-learning環境にバーチャルリアリティ(VR)技術を適用することにより、机上の学習だけでなく「体験」を要する学習もコンピュータにより支援することを目的としている。これまでに基礎研究として、仮想液体の操作モデルを提案している。凹形状容器への対応、化学実験体験システムに特化した仮想スポイトの実現、落下中の液体の高いリアリティでのCGによる描写に続き、以下のことを行った。 これまでの仮想液体の基本操作モデルは、液体の状態を、(1)簡易的なパーティクル表現による落下状態の液体と、(2)容器内に存在している液体、の2つに分けることにより高速処理を実現していた。そのため、フラスコをゆっくりと傾けた時に、細長い部分を液体が伝う様子は表現できなかった。しかし、液体の流れのような過渡状態を(物理法則に基づいて)表現するのは非常に時間がかかり、VRシステムとしては現実的ではない。そこで、液体が伝う部分を複数の直線部分に分割し、各部分において当直直線運動、あるいは傾きに応じた等加速度運動を基本とする簡易的な液体挙動モデルを考案することにより、液体が伝う様子の表現手法を開発し、評価を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
提案してきている仮想液体の操作モデルは、実時間処理を可能とする為に、人間は液体を操作する時にどのようなところに注目しているのか検討し、構築したモデルである。このモデルは開発段階であるため容器の形状、液体表面の挙動、液体の色など、いくつかの要素に分かれている。最終的にはこれらの要素技術を統合した上で実用的な化学実験体験システムを開発し、現実感、学習効果について検討する計画である。 現在までに凹形状容器による液体操作やフラスコの細長い部分を液体が伝う様子、かき混ぜによる渦など、化学実験体験システムに必要であると考えられる挙動モデルを、おおよそ実現してきた。現在はデスクトップPC上でのシステム構築に加えて、タブレット端末上での実験を行うことも想定し、タブレット端末上での構築も始めている。 以上の通り、本研究はおおむね順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに化学実験体験システムに必要であると考えられる挙動モデルを、おおよそ実現してきた。 そこでまず、評価実験のために、一般の人にも体験してもらえるレベルの化学実験体験システムを完成させる。このシステムの利用者は小学生程度を想定しているが、当初の計画では評価実験における被験者を10名程度の研究室内の学生や学内他研究室の学生を想定していた。研究の進展具合によっては、実際の小学生を対象とした実験も視野に入れられるように、予め、調整を図っていきたい。 また評価実験にあたっては、カナダUBCの協力も検討している。これにより、文化的な背景の違いなども考慮していくことができると期待している。
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