本研究は、近年、普及してきているe-learning環境にバーチャルリアリティ(VR)技術を適用することにより、机上の学習だけでなく「体験」を要する学習もコンピュータにより支援することを目的としている。これまでに基礎研究として、仮想液体の操作モデルを提案している。凹形状容器への対応、化学実験体験システムに特化した仮想スポイトの実現、落下中の液体の高いリアリティでのCGによる描写や、フラスコのような細長い部分を液体が伝う様子の表現手法の開発に続き、以下のことを行った。 これまでの体験システムはPC上に構築していた。学校などの教育機関での利用を想定した場合、高い処理速度も容易に得られるため理想的であるが、家庭での利用や院内学級での利用を考えた場合には問題が残る。そこで、まず、システムをタブレット端末に移植した。このとき、ハードウェアの特性や処理能力に依存する様々な問題を解決する必要があった。また、特殊な入出力装置の利用も困難であることが想像されるため、タッチパネルを利用するインタフェースの開発も行った。続いて、学習塾などに協力を依頼し、本システムを実際に小学生に体験してもらい、評価を行った。
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