研究課題/領域番号 |
24501195
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
中野 裕司 熊本大学, 総合情報基盤センター, 教授 (40198164)
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研究分担者 |
永井 孝幸 熊本大学, 総合情報基盤センター, 准教授 (00341074)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | マッシュアップ / 数式処理 / 数式表示 / グラフプロット / Maxima / クロスドメイン / クラウド / Web |
研究概要 |
まず、これまで開発してきたシステムのブラッシュアップを行った。本研究の元となる現行のシステムは、動的な数式処理やグラフのプロットを含む学習コンテンツを、学習管理システム(LMS)等任意のWebサーバ上に配置でき、eラーニングコンテンツの標準規格であるSCORMコンテンツ中でも利用可能である。元システムでは、数式処理やグラフのプロットに関する命令を含むコンテンツをWebブラウザで読み込んだとき、ページ中に埋め込まれたJavaScriptライブラリを通して、Maximaの数式処理をクロスドメインで利用可能にするWebサーバとJSONP形式で非同期通信を行うことで、その動的な表示を可能にしている。この仕組みの開発には試行錯誤を繰り返してきたため冗長な部分や可読性、効率の悪い部分が少なからず含まれていたため、各ソースコードとシステム設定のブラッシュアップやバージョンアップを行った。 Webブラウザ上での数式処理、数式表示、グラフプロットに関する世界的な技術動向を調査し、本システムへの組み込みや一部入れ替えを検討した。その結果、Sageが実現しているMaxima以外の多くの数学系システムの融合や、Mathjax TeXが提供する数式表示のJavaScriptライブラリ等有用なものがみつかり、今後取り入れていくことを検討している。 次に、マッシュアップ対応サーバのプライベートクラウドへの対応を行った。また、同時に、ローカルPC上の専用Webアプリケーション(パーソナル化)をLinux及びWindows版に関して開発を開始し、Linuxに関してはほぼ実現したがWindowsに関しては、グラフのプロット部分にサーバで用いていたMaximaの中間ファイルが利用出来そうにないため、現在代替策を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理数系の学習コンテンツにおいて、動的な数式処理やグラフ表示は、学習内容の理解を助けるだけでなく、数式問題の自動採点や類似問題の動的生成等広く応用できる。しかし、現状では、特別な数式処理サーバ上にコンテンツを置いたりWebブラウザへの特別な機能追加等を伴うことが多く、他のコンテンツと比較にならないほど扱いが難しい。 本研究の目的は、既存の数式処理系、マッシュアップ、クラウド、パーソナルな処理系導入等の技術の融合により、動的な数式処理やグラフのプロットを含んだ学習コンテンツであっても、他の学習コンテンツ同様に、任意のサーバに置け、ネットワーク環境から離れても、通常のWebブラウザで簡単に利用可能な環境の構築である。 以上の目的の中で、平成24年度は、元になるこれまで開発してきたシステムのブラッシュアップ、今後の機能改善を目指す新しい技術動向の調査、マッシュアップ対応サーバのプライベートクラウドへの対応、Linux版ローカルPC上専用Webアプリケーション(パーソナル化)の開発、同Windows版の検討を行った。ただし、プライベートクラウドに関しては、既存プライベートクラウドシステムに間借りする形で試験的に実現した。これらは、全体の研究計画からいってもほぼ計画通りであることから、現在までの達成度としては、おおむね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、プライベートクラウドに専用機を配置することでプライベートクラウドへの対応を完成させ、パブリッククラウドへの対応を開始する。パグリッククラウドへの対応に関しては、プライベートクラウドへの対応から得られた知見を活かして、実際にHaaS系の商用クラウドを利用して、機能やパフォーマンスに関する評価実験を行う。 パーソナル化に関しては、Linux版の改善とWindows版の開発を行うとともに、MacOS版に関してもローカルWebアプリの開発を開始する。 研究成果の公開に関しても、順次国内外の学会発表等で行っていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
パグリッククラウドへの対応を行うため、商用パグリッククラウド環境における機能やパフォーマンスに関する評価実験を行うため、その使用料等に充てる予定である。クラウド対応に関しては、他にも、プライベートクラウドの専用化にも充てる予定である。 パーソナル化に関しては、開発環境のハードウェアの整備、拡張に充てる予定である。 旅費に関しては、研究成果の発表に充てるとともに、研究動向の調査で得られたWebブラウザ上の数式の処理や表示及びグラフのプロットに関するいくつかの有用な知見の本研究への取り込みのための調査旅費としても充てる予定である。
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