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2012 年度 実施状況報告書

英文速読能力を向上させるチャンク音声提示法の研究

研究課題

研究課題/領域番号 24501196
研究種目

基盤研究(C)

研究機関首都大学東京

研究代表者

神田 明延  首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (10234155)

研究分担者 湯舟 英一  東洋大学, 総合情報学部, 教授 (70339208)
山口 高領  早稲田大学, 社会科学総合学術院, 講師 (60386555)
鈴木 政浩  西武文理大学, サービス経営学部, 講師 (10316789)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワードチャンク / 英語リーディング / 読解効率 / 提示法 / 音読 / CALL
研究概要

本研究課題の目的である英語速読能力の向上を加速させる方途として、CALLソフトウェアによる音声付チャンク(フレージング)提示を利用した音声トレーニングが有効であることを示すために、以下の実際の授業での処遇を行った。実験群としては、一つは音読を多く行った群と、黙読のみの群に大別される。それら全ての実験群・統制群では、読解及びリスニングプレ・ポスト試験と情意アンケートを実施した。その結果、音読群では英文内容理解後に,チャンク単位で音声と文字を同期して提示しながらの一斉音読訓練を継続することで,読解速度と読解効率を向上させる可能性が示された。ただし,読解理解度の向上は認められなかった。しかしながら、理解度を下げることなくWPMが上昇したことは,同じ理解度を得るための時間が短縮されたと言える。また,チャンク読みは,内容理解前であっても後であっても同様に読解効率の向上に効果が期待できる教授法であると言える。さらに,一斉チャンク音読は他の方式に比べて,学習者の満足感を高める一例が示されたことで,従来から言われてきたCALLによる個別訓練が常に最良の効果をもたらすとは言えず,一斉方式の教授法にも学習者の満足度を高める要素が存在することが分かった。
しかしながら、今後の課題としては,チャンク一斉音読による読解効率とWPMの向上効果を認めた上で,(1) WPMをさらに効率的に伸ばす訓練方法を模索することと,(2) 速度だけでなく正確さも担保する読みを可能にする訓練方法やCALL教材の開発,さらに,(3) どれだけ訓練を行えば理解の度合いを高めつつ同時にスピードを高められる段階に到達するか,すなわち,どれだけ訓練を行えば,理解と速度とのバランスのよい読解指導が成就するのか,という点に焦点を当てた研究も必要になるであろう。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定していた実授業での処遇実験が事故なく順調に実施でき、年間を通じたデータも採取できた。さらに処遇するクラス数も増加してデータとしての信頼性も増したと言える。しかしながら、所期の研究目的であるチャンク提示のテキストと音声の同期表示による音読または速読処遇における読解効率の伸びが、リスニング能力に転移する効果については有意な結果を得ていないので、処遇の質・量を高めていく方策を考え行かねばならない。
また研究発表の予定は以前よりまして頻繁になり、処遇結果を様々な側面から分析して、多様な学会・雑誌等で発表・投稿できるようになった。今後はさらに国際学会に発表を計画している。

今後の研究の推進方策

前掲のようにチャンク提示を利用したクラス一斉音読の処遇に主に昨年は成果を見たが、それぞれの授業での、音読活動が年間を通じて同様であったことで、学習者にそれ以上の効果を求めるのに、制約があったようにも受け取れるので、今後は音読処遇の多様な取り組みを工夫する。一つは集団での一斉音読ばかりでなく、個別音読も多様性を持ちつつ、各授業に合った形で変化を持たせ、さらなる読解効率の向上に資する方法を考案したい。それにより実授業での処遇が多くの大学やクラスが関わるようになるので、連携をして処遇の統制を取れるようにする。また、学習者への音読処遇についてのフィードバックも何らかの形で行えるような方法を検討したい。
また研究成果の精度を上げるため、これまでプレポスト試験のテストの信頼性を担保するために、実験群とは別に検証のためのクラス試験をいくつか行い、妥当性を検討する。

次年度の研究費の使用計画

昨年度中国での国際学会を暴動のためキャンセルした分を、今年英国における国際学会で発表するため、旅費を前年度から繰り越して支出する。また国内の学会でも発表のための旅費を協力者も含めて支出する。
教材ソフトウェア製作費を協力者でもある開発者に支出する。および同氏のその技術利用についての講習、専門知識提供についても謝礼を支出する。また研究会開催会場である東洋大学において、会議開催のための環境整備費を一部支出する。また、各授業において処遇にかかわる必要な物品購入について支出する。

  • 研究成果

    (14件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件) 図書 (1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Web教材による英語運用能力の基盤スキルの習得2012

    • 著者名/発表者名
      湯舟英一、峯慎一
    • 雑誌名

      ICT情報教育方法研究

      巻: 15巻1号 ページ: 37-42

    • 査読あり
  • [雑誌論文] TOEIC演習を利用したボトムアップ処理に基づく聴解力強化のためのe-learning教材の開発2012

    • 著者名/発表者名
      湯舟英一、峯慎一、國分有穂
    • 雑誌名

      東洋大学人間科学総合研究所紀要

      巻: 第15号 ページ: 147-160

    • 査読あり
  • [雑誌論文] ICT活用とチャンク理解で英文速読力と聴解スキルを習得2012

    • 著者名/発表者名
      湯舟英一、峯慎一
    • 雑誌名

      JUCE Journal 大学教育と情報

      巻: No.4 ページ: 18-20

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 英語チャンクの文字と音声との同時提示直後の一斉音読によるWPM上昇効果と学習者の認識の変化2012

    • 著者名/発表者名
      山口高領
    • 雑誌名

      Dialogue

      巻: 11号 ページ: 15-26

  • [雑誌論文] Tentative Use of VSTF for Japanese EFLStudents―Evaluation and Improvements―2012

    • 著者名/発表者名
      神田 明延
    • 雑誌名

      日本e-Learning学会会誌

      巻: 第12号 ページ: 24-32

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 語認識精度と熟達度の関係-単語リストを使った英検合格予測の試み-2012

    • 著者名/発表者名
      鈴木政宏
    • 雑誌名

      サービス経営学部紀要

      巻: 20号 ページ: 23-35

  • [学会発表] 音読訓練による読解力の変化と学習者の自己評価分析2012

    • 著者名/発表者名
      神田明延、山口高領、湯舟英一、田淵龍二、池山和子、鈴木政浩、
    • 学会等名
      外国語教育メディア学会関東支部第129回研究大会
    • 発表場所
      東洋学園大学
    • 年月日
      20121027-20121027
  • [学会発表] チャンク単位の音声訓練が読解効率に与える影響2012

    • 著者名/発表者名
      神田明延、湯舟英一、田淵龍二、山口高領、池山和子、鈴木政浩
    • 学会等名
      外国語教育メディア学会第52回全国研究大会
    • 発表場所
      甲南大学
    • 年月日
      20120807-20120809
  • [学会発表] シンポジウム、映像データベース教育利用の現状と未来--開かれた検索サイトを目指して2012

    • 著者名/発表者名
      山口高領、神田明延、田淵龍二、湯舟英一
    • 学会等名
      外国語教育メディア学会第52回全国研究大会
    • 発表場所
      甲南大学
    • 年月日
      20120807-20120809
  • [学会発表] 繰り返し黙読で増す速度及び内容理解と語彙レベルの関係2012

    • 著者名/発表者名
      池山和子
    • 学会等名
      外国語教育メディア学会第52回全国研究大会
    • 発表場所
      甲南大学
    • 年月日
      20120807-20120809
  • [学会発表] TOEIC問題を利用した音読練習のためのe-learning教材開発2012

    • 著者名/発表者名
      湯舟英一、峯慎一
    • 学会等名
      外国語教育メディア学会(LET)第128回関東支部研究大会
    • 発表場所
      関東学院大学 金沢八景キャンパス
    • 年月日
      20120609-20120609
  • [図書] みんなの英語音読入門編2012

    • 著者名/発表者名
      パク クァンヒ カナダ英語教師朗読訓練研究チーム, 鈴木政宏 監修
    • 総ページ数
      160
    • 出版者
      アスク出版
  • [備考] 国際コミュニケーション・フォーラム: 外国語教育に関する文献案内

    • URL

      http://dicom1.gsid.nagoya-u.ac.jp/wiki/wiki.cgi/GaikokugoKyouiku?page=reading6

  • [備考] Chunk Reading 研究グループ

    • URL

      https://www.facebook.com/groups/342987322417443/

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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