研究課題/領域番号 |
24501196
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
神田 明延 首都大学東京, 人文科学研究科(研究院), 准教授 (10234155)
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研究分担者 |
湯舟 英一 東洋大学, 総合情報学部, 教授 (70339208)
山口 高領 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 講師 (60386555)
鈴木 政浩 西武文理大学, サービス経営学部, 講師 (10316789)
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キーワード | チャンク / 英語リーディング / 読解効率 / 提示法 / 音読 / CALL |
研究概要 |
本研究課題の目的である英語速読能力の向上を加速させる方途として、CALLソフトウェアによる音声付チャンク(フレージング)提示を 利用した音声トレーニングが有効であることを示すために、以下の実際の授業での処遇を行った。実験群としては、一つは音読を多く 行った群と、黙読のみの統制群に大別される。それら全ての群では、読解及びリスニングプレ・ポスト試験と情意アンケート を実施した。2013年度に日本人EFL大学生に対して行われた上記処遇の効果(読解効率・WPM・読解スコア・リスニングスコア・自らの英語学習観など)について、一斉音読あり・なしといった変数、学習者の英語力の高・低といった変数の観点から、比較した結果、チャンク音読群は、高英語力群に対して、読解スコアやWPMの上昇効果を引き起こし、その結果読解効率の上昇も招いた。英語力が低い場合、WPMは有意に上昇し、さらにアンケートの結果、WPM 上昇実感効果・チャンク意識効果・直読直解効果・音声化自覚効果・音読を得意と思わせる効果が見られた。 他方上記では統制群である黙読チャンク速読については、業績一覧で示した海外での発表等でその価値を見直しの必要を感じ、新たな処遇について検討した。その結果としてプレポストテスト及び処遇に最適化した新たなソフトウェアを開発して次年度に本格運用するところまでに至った。つまりチャンク又は全文表示でWPMを測定して、同時に内容理解問題も解け、読解効率も自動的に算出されるものである。これにより黙読処遇及び全群でのプレポストテストを統合的に正確に迅速に実験が進められることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定していた実授業での処遇実験が事故なく順調に実施でき、年間を通じたデータも採取できた。さらに処遇するクラス数も増加してデータとしての信頼性も増したと言える。また統計的処理も精度を増したと言え、チャンク提示法による音読訓練の効果がさらに確認できた。しかしながら、所期の研究目的であるチャンク提示のテキストと音声の同期表示による音読または速読処遇における読解効率の伸びが、リスニング能力に転移する効果については前年度同様有意な結果を得ていないので、処遇の質・量を高めていく方策を考え行かねばならない。
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今後の研究の推進方策 |
前掲のようにチャンク提示を利用したクラス一斉音読の処遇に個別音読を組み合わせることは成果を見たが、それぞれの授業での、音読活動が年間を通じて様々な工夫をしながらも、学習者にそれ以上の効果を求めるのに、今後もさらに音読処遇の多様な取り組みを工夫する。一つは集団での一斉音読ばかりでなく、個別音読も多様性を持ちつつ、各授業に合った形で変化を持たせ、さらなる読解効率の向上に資する方法を考案したい。それにより実授業での処遇が多くの大学やクラスが関わるようになるので、連携をして処遇の統制を取れるようにする。また、学習者への音読処遇についてのフィードバックも何らかの形で行えるような方法を検討したい。 また研究成果の精度を上げるため、新たに開発された速読測定用のソフトウェアを実授業及びプレポスト試験で運用してみる。これは主に黙読処遇に使うことが主になるが、音読処遇との対照群としてチャンク提示法だけで、音声なしで、どこまで効果が期待できるか再検討することになる。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度に複数の海外学会での研究発表のための旅費を計上する必要が出てきた。特に研究協力者であるソフト開発者の同行を求めている。また、新規開発のソフトウェアの利用料も予定されている。 8月と11月にそれぞれアジアでの学会発表を予定している。ソフト利用料は今後時期を決めて支払う。
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