研究課題/領域番号 |
24501197
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
小倉 泉 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (50204160)
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研究分担者 |
乳井 嘉之 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 准教授 (20279780)
安部 真治 首都大学東京, 人間健康科学研究科, 教授 (80192996)
篠田 之孝 日本大学, 理工学部, 教授 (80215988)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 教育機器 / 教育用模擬CT装置 / 模擬CT画像 / 教育支援システム |
研究概要 |
申請者らは診療放射線技師の養成施設における教育用機器として、X線CT(Computed Tomography)装置を光で模擬した簡便な教育用模擬CTシステムを構築し、学生実験に導入することを目的としている。 現在、X線CT装置は高速走査かつ高度な処理がなされ、扇状(ファンビーム)をらせん状に走査するヘリカルX線CTが主流となっている。そこで、ヘリカルX線CT装置を光で模擬する教育用CT装置システムの構築を検討している。平成24年度は、ファンビームを模擬したレーザー光を用いた実験システムを構築し、画像再構成の基礎的実験を行った。 実験装置はレーザー、測定試料(ファントム)、フォトダイオードアレイ、回転ステージから構成されている。光源はファンビームを模擬するため、ライン型の半導体レーザーを用い、学生実験への導入も考慮し、可視域の赤色レーザーとした。光源からの光はフォトダイオードアレイで検出し、コンピュータ(PC)に取り込む。測定試料は黒色のプラスチック製の円筒棒を回転ステージに取り付け、単一の円筒棒ならびに複数の円筒棒を用いて任意に構成できるようにした。 実験で得られたデータを用いた画像再構成は数値ファントムを用いたシミュレーションにより得られた再構成画像とほぼ同様の結果が得られることを確認した。実験ならびにシミュレーションにおいて、回転ステージの角度の走査間隔による再構成画像への影響について検討を行った。 これらの内容については、電気学会全国大会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度の実施計画では、ファンビームのレーザー光を用いた模擬CT装置システムの開発、数値ファントム(シミュレーション)と実験で得られた再構成画像の比較検討、模擬CT画像を取得するための画像再構成アルゴリズムの検討を行い、すでに構築済みの第1世代ペンシルビームによる模擬CT装置システムとの模擬CT画像を比較・評価を行うこととした。 これらの項目については、おおむね計画通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、ファンビームをらせん状に走査するヘリカルX線CT装置についてヘリカル模擬CT装置を構築する。このヘリカル模擬CT装置と平成24年度に構築したファンビームによる模擬CT装置との再構成画像の比較検討を行い、画像再構成アルゴリズムを検討する。 特に、ファンビームの走査の高速化による再構成画像への影響を詳細に実験し、実際のヘリカルX線CT装置のCT画像との比較・評価を行う。そして、得られた知見を国内の諸学会に発表する。 平成26年度は、本研究の最終目的である教育現場の学生実験に導入するため、ヘリカル模擬CT装置の自動計測と同時に画像再構成システムの表示機能を開発する。X線CT装置は人間の内部を可視化し、様々な角度や方向から可視化することができるとともに、任意面のスキャンや3次元表示などの機能を有している。そこで、本ヘリカル模擬CT装置システムも高度なグラフィック機能を有するシステムに拡張を行う。さらに、実際に学生実験に導入するため、実験項目および実験方法、測定試料(ファントム)の検討を行い、テキスト等の教育資料を作成する。そして、ヘリカル模擬CT装置を用いた学生実験での学生・教員の意見をフィードバックし、本ヘリカル模擬CT装置システムをより充実したシステムとして完成させる。 これにより、本システムが全国の診療放射線技師養成施設において導入するに値することを実証する。そして,得られた成果を国内外の諸学会にて発表を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、平成24年度に構築したファンビームによる模擬CT装置にZ軸の走査を加えてヘリカル模擬CT装置を構築する。そこで、Z軸走査のための稼働テーブルを取り付け、回転ステージと同期制御を行うシステムを構築する。これらに必要なライン型半導体レーザー、データ取り込みADボード、電気回路部品、光学部品、ソフトウェア等を購入する。 また、画像再構成アルゴリズムについて検討するため、評価用の試料(ファントム)を作成する。 その他、システム構築に必要な消耗品の購入および学会発表旅費、謝金を支出する。 端数の57円については該当する購入品がないため、次年度に繰り越すこととする。
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