研究概要 |
本研究は、震災後の中核市における校外初任者研修の現状と課題を整理し、校外初任者研修の効果的な運用等について検討することを目的として、(1)全国40市の中核市における初任者研修の実施状況に関する量的調査、(2)初任者研修受講者・初任者研修実施担当者・教職経験10年目教員への聞き取り調査、(3)校外初任者研修プログラムの研修効果や改善点の検討、(4)初任者教員の適応および成長支援に資する効果的な研修内容等の提示、を行うものである。 2年目の今年度は、(1)~(3)に関わる調査研究を中心に実施した。成果の概略は、次のとおりである。 (1):平成24年度末現在、全国には41の中核市があり、学校数及び児童生徒数の合計は、小学校2,220校/894,600名、中学校1,029校/434,751名であった。中核市における初任者研修受講者数は、平成16年度1,522名(35中核市)から平成23年度2,367名(41中核市)へと増えているが、全体に占める割合は約8~9%で大きな変化は見られなかった。中核市における拠点校方式の実施は、平成16年度67.5%から平成23年度90.4%へとこの7年間で23ポイントほど増加し、中核市全体の約9割を占めていた。 (2):福島県内の中核市においては、震災によって県から独立した初任者研修の内容が震災前の依存状況に戻りつつあるが、「初任期」を意識した任意研修を新たに立ち上げるなど、研修の自律性を高める動きが確認された。 (3):いわき市における防災サマーキャンプとの連携プログラム等に見られるように、「遂行中断性(アフォーマティブ)」の考え方を基盤として、「「教師である前に市民であること」が可能になるような教師教育」が制度的に構築され始めていることが確認できた。
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