研究課題/領域番号 |
24501202
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
坂田 信裕 獨協医科大学, 医学部, 教授 (50362132)
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キーワード | 教育工学 / 危機管理 / 学習管理システム / 安否確認 / クラウド |
研究概要 |
平成25年度に実施した結果は以下の通りである。 1)LMSの学生安否確認への応用による非常時情報管理の効率化・可視化・共有化への影響効果について(1)平成24年度に実施されたLMSと携帯電話メールを連携させた安否確認システムの利用を平成25年度も継続して運用した。(2)平成25年度では、LMSを用いた安否確認を防災訓練と合わせて実施することで、関係者間での安否確認システムに対する認識の向上と、訓練時の結果を元に運用改善に関する検討を行った。(3)LMSの調査機能について運用を行いながら改善の検討を行った。学生の携帯電話メールアドレスの変更を簡便化する機能について検討をしたが、平成25年度では、機能のそのものの変更ではなく、運用上の見直しで対応した。 2)クラウド型危機管理対策用LMS環境構築による非常時コミュニケーション基盤確保について:平成25年度には、サーバー機器と研究用LMS環境を遠隔地に移設し、非常時に遠隔地のサーバーを利用する手法の構築を検討する取り組みを行った。サーバー機器と研究用LMS環境は、北海道苫小牧市に移設し、リモートでの設定・環境調整を試みた。また、携帯電話網を活用したLMS設定の調整も行うなど、非常時コミュニケーション基盤の確認を実施した。 3)危機管理リテラシー学習用コンテンツ作成および利用による理解・認識度への影響について:平成25年度には、試行的な安否確認機能の利用および防災訓練時の利用を実施することにより、理解・認識度の向上を図った。現在までの取り組みの中で、試行的な利用およびアンケートの実施が、危機管理対策の一つのコンテンツと考えられたが、スライドや動画教材など理解をより深めるためのコンテンツについては、まだ完成には至っておらず、コンテンツの詳細を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成25年度は、以下のように各項目を進めることでき、「LMSの学生安否確認への応用による非常時情報管理の効率化・可視化・共有化への影響効果について」と「クラウド型危機管理対策用LMS環境構築による非常時コミュニケーション基盤確保」についてはおおむね順調な進捗状況と考えている。その一方で、「危機管理リテラシー学習用コンテンツ作成および利用による理解・認識度への影響」については、コンテンツ作成について一部遅れが出ている。 1)LMSの学生安否確認への応用による非常時情報管理の効率化・可視化・共有化への影響効果について(1)安否確認システムの周知を継続して行うことができ、通常業務の中でも、LMSを活用した調査機能を継続した利用が可能であった。これらの取り組みにより、安否確認の実施時に体制的にも対応しやすい環境となったと考える。(2)平成25年度では防災訓練時に合わせて安否確認システムの利用を行い、課題点の抽出などを行った。このように実運用段階としての利用を継続することが可能であった。(3)平成25年度には、直接的な機能改善ではなく、運用方法の変更による見直しで対応することができた。 2)クラウド型危機管理対策用LMS環境構築による非常時コミュニケーション基盤確保:計画通り、サーバー機器と研究用LMS環境を遠隔地(北海道苫小牧市)へ移設し、遠隔地に設置した環境を利用しての安否確認基盤を検証した。 3)危機管理リテラシー学習用コンテンツ作成および利用による理解・認識度への影響:平成25年度も安否確認の試行実施とアンケート調査が、理解・認識度向上に役立つコンテンツの一つと考える。しかし、理解度・認識度をより向上させる目的のe-ラーニング型危機管理リテラシー学習用コンテンツ作成については、やや遅れている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
1)LMSの学生安否確認への応用による非常時情報管理の効率化・可視化・共有化への影響効果について:平成24~25年度に構築および利用した安否確認システムについて、より効率化・可視化・共有化の視点からの改善を検討し、最終年度としてのまとめを行う計画である。また、実運用段階として定着してきているこのシステムのさらなる継続的な運用を目指した取り組みについて検討する。 2)クラウド型危機管理対策用LMS環境構築による非常時コミュニケーション基盤確保について:平成25 年度に遠隔地へ移設したサーバー機器と研究用LMS環境を用いて、さらにリモート環境での運用に関する取り組みを行う予定である。とくに大規模災害時のシミュレーションを検討し、異なる通信手段からの運用など、LMSを用いた非常時コミュニケーション基盤の運用についてさらに検討を実施する。 3)危機管理リテラシー学習用コンテンツ作成および利用による理解・認識度への影響について:学習用コンテンツの検討を進め、作成を予定している。また、今年度も安否確認の試行およびアンケート調査を行うことにより、理解・認識度向上を試み、その結果をまとめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
危機管理リテラシー学習用コンテンツの作成の進捗が予定よりも遅れていることから、作成用の費用がまだ発生していない。また、遠隔地でのサーバー管理費用等が想定よりも安価であったこと。また、LMSの機能改善での費用発生を抑制できていることなどから、次年度使用額が発生したと考える。 最終年度の計画と合わせ、進捗が遅れている危機管理リテラシー学習用コンテンツの検討を進める。このコンテンツ作成する段階で発生する費用に次年度使用額を使用する計画である。また、遠隔地でのサーバー運用に加え、クラウド環境の利用を行うなど、非常時における安否確認手法の対応可能な幅を広げる取り組みを検討しており、その実施における費用に使用する。また、LMSの機能について見直しを計画しており、その改善に伴い費用が発生する予定である。
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