研究課題/領域番号 |
24501208
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 江戸川大学 |
研究代表者 |
玉田 和恵 江戸川大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20299902)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 情報モラル / 道徳教育 / 問題解決力 / 指導力 / 研修方法 |
研究概要 |
本年度は「①情報モラル教育や道徳教育に関する知識と意識、情報技術に関する知識などの事前調査」→「②生徒役として情報モラル教育の模擬授業体験(従来の指導法と本研究グループの指導法)」→「③教師役として情報モラル教育の仮想授業実施(本研究グループの指導法)」→「④振り返りとフィードバック」→「⑤意識や知識の変容を見る事後調査」の手続きに即してデータ収集ができるように、教授活動ゲームのゲーム盤の開発を行う。その上で、研究代表者および連携協力者等が担当している大学の教職課程の授業や、現職教員研修会で指導実践を行い、収集したデータを分析して、傾向を把握するとともに、ゲーム盤の改良を行った。その際、以下の観点から分析とゲーム盤の改善を行った。 (1) 情報モラル教育を一般モラル教育と連携して実施していくには、「3種の知識」における道徳的規範知識、すなわち、道徳性の発達段階を考慮する必要がある。よって、教師がどの学校段階を担当しているかによって、望ましいと思う指導法は変わってくると思われる。一方で、小学校の教員であっても、発達段階を考慮して、見通しを持った指導をすることは重要であり、中学・高校でどのような情報教育および情報モラル教育を行うことを想定し、それを考慮して小学校段階の情報モラル教育をどのように行うべきかを考えることは必要である。この点に着目した回答が促せるような授業体験が提供でき、調査が実施できるシステムを検討した。 (2) 教師役として模擬授業体験させるには、教師がおかしそうな失敗や、さまざまな学習者の反応に対して適切に対応するための意思決定をさせる必要がある。開発したゲーム盤が十分な反応を提示したり、十分な選択肢を提供できているかを振り返り過程で抽出する必要がある。これについては、グループディスカッションなどを取り入れ、情報収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究が計画している内容のうち、「①情報モラル教育や道徳教育に関する知識と意識、情報技術に関する知識などの事前調査」→「②生徒役として情報モラル教育の模擬授業体験(従来の指導法と本研究グループの指導法)」についての模擬授業ゲームはほぼ完成している。また、本ゲームを踏まえた高校生向け授業の指導案の作成も完了しており、本年度計画していた内容はほぼ達成できていると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、基本的な研究のアプローチはこれまで同様であるが、学校段階や道徳性の発達段階に応じて、情報モラル教育への取り組み方には系統性を想定する必要がある。既に、玉田・松田(2011),『児童生徒の発達段階や指導目的に応じた情報モラル指導類型』日本教育工学会研究会報告集,JET11-1,pp.45-52)で、そのひな形を検討済みであるが、実際にその類型に即した指導事例を模擬授業として実施できるように、新たなゲーム盤の開発を行う。その上で、対象となる教員の状況に応じた教材、模擬授業例、振り返りのさせ方を検討し、効果検証のための実践・データ収集と分析を行う。 その際、以下のような観点で働きかけの工夫や効果の分析を行うことが重要であると考える。 (1) 小学校教員の場合、本研究で提案する指導法をすぐに取り入れるのは困難であると判断される可能性が高い。しかし、中学・高校の指導で本研究の指導法が効果を上げるには、小学校段階で、情報モラルの指導と一般モラルの指導とを関連づけて指導しておくこと(特に、一般モラルの事例と情報モラルの事例との類似性を強調しておくこと)が必要であると予想される。よって「小学校での指導が高校生になった時の思考過程にどう影響するか」を擬似体験させる教材などを用意することで、指導の効果を検証する。 (2) 逆に、中学・高校の教員の場合、想定する指導対象の生徒が、小学校で異なる道徳教育、情報モラル教育を受けてきたことを想定した指導を考える必要がある。③の模擬授業ゲームでは、そのような観点から生徒の反応のバラエティを検討する必要がある。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度以降の研究でさらに教材開発及び改善を行う際に、ゲーム盤や指導案データの作成、データ分析の作業に研究補助謝金等が必要である。また、国際会議等での情報収集や成果発表のために、英文校正や外国旅費、次年度により多くの授業実践協力者を得るために、打ち合わせの国内旅費が必要である。
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