研究課題/領域番号 |
24501208
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研究機関 | 江戸川大学 |
研究代表者 |
玉田 和恵 江戸川大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20299902)
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研究分担者 |
松田 稔樹 東京工業大学, 社会理工学研究科, 准教授 (60173845)
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キーワード | 情報モラル / 道徳教育 / 3種の知識 / 情報的な見方・考え方 / 教師教育 |
研究概要 |
新学習指導要領では、全ての学校段階で情報モラル教育や情報安全教育に取り組む必要があるが、学校現場には、適切な情報モラル教育を行える教師が不足している。従来の情報モラル教育は、事例や心情を中心に指導する方法が主流だったが、本研究グループは、一般モラル教育の枠組みを活用して情報モラル判断力の育成を図る「3種の知識」による指導法を確立し、さらに、情報活用能力育成のための「情報的な見方・考え方」と統合した指導法へと発展させてきた。 本研究では、以上の成果に基づき、現職教員研修や教員養成課程での実践・評価を行いながら、当該の指導法を教師に習得させる方法を確立することを目標としている。本年度は、集合による教員研修と平行して、数名の現職教員に本研究による指導法及び教材を用いた継続的な実践を委託し、指導する上で何が障害になり、どう働きかけるとそれが克服できるのかという仮説検証的な実践を行った。 そして、これらの実践を通して、教師の情報モラル指導力修得に必要となる要素を抽出・検討し、教師の情報モラル指導力を測定するための手法・評価方法を確立した。また、検討した指導力修得に関する要素、測定・評価方法を基に教師の情報モラル指導力を育成するための教員研修方法を開発した。本研究グループが開発した教員研修方法で研修を実施した結果,「問題の本質を理解することによって指導目標を明確にすることができた。指導の枠組みが理解できたので、これからは道徳教育をベースとした情報モラル教育に積極的に取り組みたい」という現職教員の反応が得られており、情報モラルの指導力を育成するための指導法をある程度確立することができたと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、本研究グループが開発した情報モラル判断のための「3種の知識」と問題解決のための「情報的な見方・考え方」とを統合した指導法を、現職教員研修や教員養成課程での実践・評価を行いながら、教師に修得させる方法を確立することを目的としている。その際、指導する上で何が障害になり、どう働きかけるとそれが克服できるのかという仮説検証的アプローチによって、他の新たな課題にも適用可能な教師の職能開発モデルを提案するが、現在、2012年度の研究成果を引継ぎ、教員研修や個別の教員による実践を基に概ね申請時に予定していた内容について達成できていると考えられる。これまでの経過は以下の通りである。 2012年度の研究活動で、情報モラル判断のための「3種の知識」と問題解決のための「情報的な見方・考え方」とを統合した指導法を活用して、教師の情報モラル指導力を育成するための教員研修の手法を検討した。また、その手法を用いて、各都道府県の教育委員会が実施する現職教員研修及び大学での教員養成課程で実践を行い、本研究による指導法及び教材を用いて教師が情報モラル指導力を身につけるために必要となる要素を抽出した。 2013年度は、数名の現職教員に本研究による指導法及び教材を用いた継続的な実践を委託し、指導する上で何が障害になり、どう働きかけるとそれが克服できるのかという仮説検証的な実践を行った。そして、これらの実践を通して、教師の情報モラル指導力修得に関する要素を抽出・検討し、教師の情報モラル指導力を測定するための手法を検討し、評価方法を確立した。また、検討した指導力修得に関する要素、測定・評価方法を基に教師の情報モラル指導力を育成するための教員研修方法を開発した。これまでは順調に研究が進んでいると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、教師自身の情報モラル指導に対する意識、授業運営、学習者への情報提示・助言・フィードバック等を、本指導法による教師の情報モラル指導力を測定するための手法を検討し、評価方法を確立する。そして、教師の情報モラル指導力を育成するための教員研修方法を開発する。特に、これまで連携協力者が開発してきた模擬授業支援システムに本指導法の授業モデルを搭載し、教師が実際の授業をシミュレーションすることができる環境を開発する。 そして、各都道府県の教育委員会が実施する現職教員研修及び教員養成課程で指導を行い、情報モラル指導力を育成するための教員研修方法の評価・改善を図る。実際に研修と模擬授業支援システムによる演習を行い、どの程度情報モラルの指導力が身についたかということを定性的に評価する。 教員研修支援システムを開発し、e-learning教材化し広く普及を図る。多くの教師がe-learning教材で学習することによって情報モラル指導力を身にけることが可能かどうかを検証する。また、情報モラルの指導法を修得するアプローチを整理し、新たな課題に適用可能な教師の職能開発モデルを構築し、提案する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
大規模アンケート調査を予定していたが、アンケート項目の変更が発生したため当該予算は次年度に繰り越された。 最終年度に、評価に関する大規模なアンケートを実施するため、そちらで差額を使用する予定である。
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