本研究は、手術室映像配信システムを用いて、まずは外科修練医の手術手技習得に要する時間を短縮し、手術手技の内容・意義の理解を補助することで時代に即した効率の良いトレーニングシステムを構築すること、また、医学部学生の外科教育、特に手術についての教育を充実させ、外科学に対する意識改革と将来への動機づけをすることを目的としている。 平成27年度の実績としては、医学部5年生を対象に模擬皮膚を用いた皮膚縫合トレーニングに関する研究の結果を解析し、手術手技習得の効率化のためには、まず教科書により解剖と手技内容を大まかに把握した後にヘッドカメラシステムによる実際の手術手技見学を行った方が、逆の順序で行うよりも手技取得に要する時間が短縮されることが示された。また、昨年度に引き続き医学部5年生の心臓血管外科臨床実習の手術見学の現場でヘッドカメラを用い、実習の最後に実習全般に関する批判的な意見を述べさせた。ヘッドカメラ導入前後の意見を解析した結果、カメラ導入後は手術見学に関する批判的な意見が減少し、外科治療に対する理解と興味が深まっていることが示された。これらの結果を第24回アジア心臓血管胸部外科学会学術総会で発表した。
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