研究課題/領域番号 |
24501216
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
児玉 靖司 法政大学, 経営学部, 教授 (30266910)
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研究分担者 |
寺脇 由紀 法政大学, 情報メディア教育研究センター, 助手 (30559365)
鎌田 敏之 愛知教育大学, 教育学部, 准教授 (80262939)
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キーワード | 携帯端末 / 教材情報システム / eポートフォリオ / Javascript |
研究概要 |
本年度は、2年目であり、情報システムの開発としては「携帯端末への対応」を中心に行った。本研究で設計、構築している教材情報システム YATT(Yet Another Time Table)について引き続きバージョンアップを行っている。YATTは、携帯端末を含めたインターネットブラウザから使用し「授業スケジュール管理」の機能を持つ。ユーザ(主に教員)毎に授業教材などデジタルコンテンツを掲載し公開することができる。学習者は、公開されたコンテンツを閲覧することができる。本年度は、携帯端末への対応を主に行った。 一方、研究代表者は米国(シリコンバレー)に滞在し、「新しいブレンデット学習の方法」に関する調査を行った。ICTを用いた教育システム環境は変化が早い。情報処理学会論文誌への寄稿するために米国高等学校(チャータースクールを含む)にインタビュー調査に行った。米国の学校では情報システムが完備され、親を含めた学習者が教員からのフィードバックを常に受け、インターネットを通してコミュニケーションできる環境が整備されていることが分かった。本研究においても、米国の最新事情を考慮し、次のステップへ向けての計画策定を行っている。特に、MOOC(Massive Open Online Courses)s に関する話題が盛んに議論され、米国では「ポストMOOCs」に関する議論が盛んである。 学会報告としては、研究代表者と寺脇が、英国で開催されたDMS2014において研究発表を行った。さらに、昨年度に引き続き、研究代表者と寺脇が中心となり国際シンポジウム「第2回映像配信を利用した教育情報システムの最新事情」を開催し、米国から教育工学に関するスピーカを招待した。海外の研究者との議論も密に行っている。本研究に関しても研究代表者、寺脇、鎌田がそれぞれ研究発表を行った。東京理科大学が主催する「理科大フォーラム」においても論文発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目であるため、本研究の主題である情報システム YATT(Yet Another Time Table) のバージョンアップを主眼に、海外の研究者との議論を活発に行った。さらに、海外での「新しいブレンデッド学習」についての最新事情を調査した。昨年に引き続き、研究代表者と寺脇が中心となり、国際シンポジウム「第2回映像配信を利用した教育情報システムの最新事情」を法政大学にて開催した。本シンポジウムは、本研究の現在の位置づけ、将来の課題を国内外の研究者と議論するための重要な場となり、本研究の将来の方向性を確認することができた。本研究に関連し、同時にさらなる世界の最新事情を調査することが必要であると考えている。特に米国においては、無料の教材コンテンツ(OER,Open Educational Resourses) が氾濫しており、日本と比べると質だけでなく量的にも非常に足りないことが確認できた。さらに、学習者によりPCだけでなく、タブレット端末の利用も進んでいる。本研究では、タブレット端末などの携帯端末への対応が必須であると共に、携帯端末から閲覧できる「コンテンツ開発」も必要であるので、その計画策定をおこなった。 ICTのさらなる発展により、無料の情報システム(SNSや関連したツールを含む)が非常に多く登場している。教材コンテンツを含め、無料の情報システムを組み合わせ、効率的な教育環境整備が必要になってきている。さらに、米国をはじめとした世界の情勢の変化を早くつかみ、効率的に本研究を進めることが必要であると考え、積極的にインタビュー調査を行った。 技術的には Node.js を使ったWebサイト構築だけでなく、iPhoneアプリ開発、アンドロイドアプリ開発に関する調査からプロトタイプの開発までを行った。コンテンツ開発には、Macintoshの標準のツールで概ね実現できることが確認できた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は研究代表者が米国シリコンバレーに滞在していたこともあり、海外の最新事情を掴みながら次のステップの研究策定を行っている。米国では、携帯端末を教育環境の中で利用する研究が進み,本研究の主題となっている「携帯端末から利用する」教育環境に関する調査研究がさらに必要である。今後も、米国の高等教育機関にインタビュー調査をする必要があると考える。「携帯端末から利用する」教育環境では、携帯端末に向いた独自の教材コンテンツが必要であることも認識されているため、さらに別の方策を検討し「教材コンテンツ作成」も進めて行きたい。 日本では特にMOOCsの展開が始まったばかりであるが、米国では既に「ポストMOOCs」に関する議論が進んでおり、「新しいブレンデッド学習」に関心が集中している。日本においても、無料で利用することができる情報システム(SNSやツールを含む)や、OERが増えているため、本研究においても「無料」の環境を利用した最新のシステムを利用した場合の教育効果の検証が急務である。具体的にはグーグルがCourseBuilderを発表し、さらに新たなるLMS:classroomを発表するなど本研究分野でのツール類を多く発表している。我々も積極的に活用し、学習効果の検証を行って行きたい。 「機械学習」の分野でも研究発表が多くなって来ている。グーグルとUC Berkeleyが中心となり、2014年3月に、ACM主催のLearning@Scaleがアトランタで開催された。本会議は、機械学習を用い「学習解析」を追求する初めての国際会議である。本研究課題でも2014年度のLearning@Scaleに参加、発表することを目標にする。本会議に関連する研究を開始するためのプラットフォームとして、Open edXや、Canvas等の標準的な環境の整備が必須であるので、環境整備についても進めて行きたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
寺脇について、英国で開催された「DMS2013」に出席予定の1回の海外出張が取りやめになった。発表については児玉が行った。鎌田の海外出張について3月にアトランタで開催された「Learning@Scale」への参加が決まり児玉の費用から出張費に充てた。 2014年の同様の国際カンファレンスの出席について寺脇の費用を充てる予定である。
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