研究課題/領域番号 |
24501220
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 相模女子大学 |
研究代表者 |
加藤 由樹 相模女子大学, 学芸学部, 講師 (70406734)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | モバイルラーニング / 携帯電話 / 感情 / メール / テキストコミュニケーション |
研究概要 |
本研究の目的および意義は以下である。 携帯電話を利用したモバイルラーニングに関する研究は、主に“いつでもどこでも”学習できるという携帯電話のモバイル性に着目する。しかし、デジタルネイティブにとっての携帯電話は、彼らの分身であるパーソナルなメディアであり、感情コミュニケーションのメディアでもある。本研究の全体構想は、携帯電話を感情のメディアと捉えたデジタルネイティブのためのモバイルラーニング環境の構築である。この構想に向けた本研究の目的は、学習者の感情面を支援するために感情の伝達やコントロールを行うメディアとして携帯電話を位置づけ、学習者が意欲的に学習に取り組めるモバイルラーニング環境を設計し、そのプロトタイプを開発することである。 以上の目的を達成するために、初年度である平成24年度には大学生を対象にしたアンケート調査を行った。継続的な調査としての携帯電話、スマートフォン等の所有率やアプリ、その他機能の使用頻度等に加え、当該年度は、携帯電話、スマートフォンを用いたテキストコミュニケーションにおけるやりとりを終えるためのストラテジーに特に注目した。なぜならば、現在の主な大学生は小中学校の時から携帯メールなどのコミュニケーションをしており、また、そのやりとりが深夜まで続くなどの経験をしていたことが、文部科学省などの各種調査から示されているからである。すなわち、デジタルネイティブは、テキストコミュニケーションのやりとりがなかなか終わらず困ったことがある世代と言えなくもない。テキストコミュニケーションにおけるやりとりを終えるためのストラテジーを明らかにすることは、テキストコミュニケーションが身近な現代の小中高の子ども達への今後の情報教育への意義も大きい。以上のように、当該年度はモバイルラーニングのための基礎研究として、テキストコミュニケーションに焦点を当てた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度は主として大学生を対象にしたアンケート調査を行った。研究課題の期間中に継続的に行う調査としての携帯電話、スマートフォン等の所有率やアプリ、その他機能の使用頻度等については、2年目以降も同様の調査を行っていく。なお、この調査は、基本的には4年間同じ項目を使用するものであり、当該年度に完成した。しかし、もちろん今後は、その時々のトレンドに関する項目も適宜入れて行う。 また、当該年度は、携帯電話、スマートフォンを用いたテキストコミュニケーションにおけるやりとりを終えるためのストラテジーに特に注目した。特に感情面に焦点化したモバイルラーニングにおいて、最も学習者の感情面に影響を及ぼすのはコミュニケーションであると考えられる。特に当該年度に行った「やりとりを終えるためのストラテジー」は、コミュニケーションの相手の気持ちを配慮して行われるものである。この調査によって、デジタルネイティブの世代は、携帯電話で行うテキストコミュニケーションの特性を彼らなりに理解し、特性を生かしたストラテジーを行っていることがわかった。すなわち、この調査で、相手への感情面への配慮の方法や特性について、デジタルネイティブがどのように捉えているかを知見として得られたことは大きい。この結果を踏まえ、次年度以降に行う調査、実験の大枠が固まってきた。以上の理由から、「おおむね順調に進展している」と回答した。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度は主として調査について学会発表を行った。また、その調査を総合的にまとめていくつかの知見を論文にまとめて投稿した。なお、論文は査読中である。しかし、実験についてはまだ未発表である。次年度は実験についても公表していく。 今後は継続的な調査および実験を行う。しかし、注目する細かい視点やアンケートの項目については、次年度以降完全に一貫することはしない。もちろん、研究期間である4年間の推移を調べるために、いくつかの固定した項目は存在させるが、一方で、新しい視点、項目をどんどん追加する。例えば、当該年度で言えば、年度初めと終わりではLINEと呼ばれるコミュニケーションツールの利用が大きく変わった。それによってコミュニケーションの仕方も変化していくことは当然考えられる。本研究では、4年間の変化について、当該年度である初年度に決めた視点だけにとらわれず、新しい機能、ツールなどとのデジタルネイティブの関わり方について見ていく。 最後に、本研究課題の最終目的はモバイルラーニング支援である。基礎的な調査が中心の本研究であるが、学習との関係に関する検討は今後の研究では徐々に占めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
まず、次年度は海外旅費を使用する。当該年度も海外旅費を計上していたが公務等により出掛けられなかった。科研費で行った研究知見を国際的に公表することの意義は大きいため、次年度は実行する予定である。 また、国内旅費については、当該年度同様、全国大会や研究会での発表、意見交換のために活用する。 設備費については、次年度は、タブレット機能のあるパソコンやモバイル端末などの機器の購入を考えている。また、調査用に撮影機器の購入も予定してる。 謝金については、システム開発などに関わる際に使用する予定である。
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