研究課題/領域番号 |
24501222
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 仁愛大学 |
研究代表者 |
篭谷 隆弘 仁愛大学, 人間生活学部, 准教授 (80290089)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | LMS / 学習管理システム / Moodle / 小学校 |
研究概要 |
本研究では小学校教育における学習管理システム(LMS)の普及を目指すために、LMSのユーザーインタフェースやシステムプログラムの改良を行い、さらにそのLMS上で利用できる教材コンテンツの内製化と共有および評価が行えるネットワークの構築を行い、教員養成課程をもつ大学と小学校との連携による実践的な取り組みも試行する。当該年度は、以下の【インタフェースの改良に向けた分析と実装、小学校教諭らとの共通理解】に関わる内容を中心に研究を行った。 オープンソースで開発が続けられているLMSであるMoodleは、多言語に対応するため、言語パックという形でボタンやメニューやメッセージ、ヘルプ画面等の文字列が提供されている。小学校での利用を想定する場合、ユーザである児童の学年によって、UI文字列として利用できる漢字は限定的である。そこでまずrubyタグを文字列として含めることでルビを振る方法やWebの機能を活かし、divやspanタグのtitle属性に読みを埋め込む方法を試行した。今後タッチデバイスとの互換性も検討が必要である。一方、用語(熟語・単語・外来語)については、学年別の明確な指導要領による定めがないので、教科書等を参考にそのまま用いるのか平易な表現に替えるかを検討したが、最終的には小学校教諭の意見も参考に調整が必要である。今後の言語パック作成の見積もりとして、言語パック内の漢字・外来語の使用状況を自動的に確認スクリプトも作成した。 また、LMSについて小学校教諭との共通理解をはかるため、県内外の小学校や研究会に参加し意見交換を行った。その結果、県内の1小学校において翌年度の利用実証に向けての計画を立てることができた。今後より具体的な機器の選定や対象授業での指導方法などについて検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度はシステムの改善に関わる点の検討と初等教育の現場の教諭らとのLMSに関わる共通理解が主たる達成目標であったが、それぞれについて以下の遅れがある。LMSを児童が利用することを想定する場合、ユーザーインタフェース(UI)となる文字列を中心に改善を検討することができたが十分な量に達しておらず、またUI全般におけるアクセシビリティについては十分な検討ができていない。また紙の教材等とLMSを連携するツール制作を検討しているが実装には取り掛かれていない。 一方共通理解に関わる部分については、より多くの教諭らとの会を催したかったが、当方・先方の時間的都合や先方の内部調整の都合などから難しい面があった。そのため教材内製化への検討・準備も十分行えていない。 研究成果の公開については、国内発表は行ったが、海外での研究動向調査や発表が行えなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、主に【最適化改良内容の公開と教材コンテンツの試作】について研究を行う。 平成24年度の成果として得られた言語パックや、タブレット端末に最適化するテーマファイルを制作しMoodleの国内コミュニティにて公開する。小学校での利用を模索する他機関の研究者やMoodle利用者らから意見を求めることで、内容のブラッシュアップを行っていく。 教材コンテンツについては、特定の学年・教科に的を絞った試作を行い、Moodle上での利用環境を構築する。学習指導要領に示される内容や既存の年間指導計画に基づき、教科書や関連教材の内容も参考のうえ、児童に提示する資料、小テストなどによってドリル的に学習を指導する内容、文章によって記述する意見、デジタルカメラなどで児童らに情報収集させた資料など、これまで紙媒体を中心としていたと思われる指導内容についてLMS上のコンテンツについてデザインする。 これを小学校の現場において、あるいは一時的に本学を会場に講習を実施するなどして、試用してもらい、児童の反応や学習指導上の改善点について議論を深める。
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次年度の研究費の使用計画 |
LMSのユーザーインタフェースや内部プログラムの改良に関し、PCを1台購入する。また小学校現場での実証を進めるためサーバ用PCとタブレット端末10数台の購入を予定している。これらをネットワーク接続するための可搬式のアクセスポイントとWiMAX等のインターネットサービスへの接続環境を構築する。また国内外での研究成果発表のための旅費・参加費の使用を予定している。
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