本研究では、小学校教育における学習管理システム(LMS)の普及を目指すために、LMSのユーザーインタフェースやシステムプログラムの改良を行い、さらにそのLMS上で利用できる教材コンテンツの内製化と共有および評価が行えるネットワークの構築を試行するものであった これまで【インタフェースの改良】に関わる内容として、LMSの小学生向け言語パックで用いる用語の選択とフリガナ表示による試行を行った。その後、【教材コンテンツの試作】に関わる内容として、小学校低学年で学習する漢字を中心にその成り立ちを理解する教材を題材に、オーサリングソフト等によるSCORM形式のコンテンツの制作などを通して、コンテンツの内製化を現場教諭でも比較的容易に実現できることを確認した。また、現場でのLMSおよび学習教材の利用を想定し、タブレット型端末でのLMSへのアクセスや端末の一括管理について試行した。 本年度は特に、小学校等で普及がすすみつつある汎用クラウドサービスとLMSとの連携部分の検証を中心に行った。ファイルストレージに、PCに加えてスマートフォンやタブレット端末から容易にファイルを作成し、さらにそれらのファイルを学習における課題や成果物として、コース内で集約することが可能となる。 これらの研究を通して、計画におけるシステム・コンテンツの側面については、一定の成果を得られたものと考えているが、小学校現場での運用実証については、計画後の運用体制の協力が難しく行うことが出来なかった。今後は、学習者用デジタル教科書などの利用を計画する行政機関や協力校との検討の機会を増やして実現したいと考えている。 今後の研究の発展の方向性としては、学修成果物のLMSへの蓄積とそれをもとにした内省などを促すために、ポートフォリオ的側面の研究も進めたいと考えている。また学習履歴をもとにした教材のリコメンド機能などへの発展も検討したい。
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