研究課題/領域番号 |
24501225
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪学院大学 |
研究代表者 |
中嶌 康二 大阪学院大学, ITセンター, 主任 (10565823)
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研究分担者 |
中野 裕司 熊本大学, 学内共同利用施設等, 教授 (40198164)
白川 雄三 大阪学院大学, 経済学部, 教授 (80154368)
鈴木 克明 熊本大学, 社会文化科学研究科, 教授 (90206467)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | eラーニング / インストラクショナルデザイン / 動機づけ |
研究概要 |
平成24年度は,(1)ARCS動機づけモデルを教員向けに拡張した,ARCS+ATモデルの理論的妥当性を検証する,(2)大学等機関が活用する,ARCS+ATチェックリストを改善し,質向上を図る,(3)教員自身が活用する,Volitionチェックリストの開発と検証を行う,という研究の3本柱をスタートするための計画を立て,それぞれの初期段階の手順を遂行した.まず,これらの研究の基盤的な位置づけとなる,2008年に提唱されたARCS-VモデルのVolition要因(意志の要因.以下,V要因とする)の先行研究を調査し,その成果をもとにして,ARCS各要因の下位分類定義に習った,V要因の下位分類定義の提案を行った(※この研究成果については,国内外の学会にて発表した.また,関連論文が,2013年7月,国際ジャーナルに採録予定).また,V要因研究への貢献を図り,ARCS-Vモデル提唱者であるJ.M. Keller教授(フロリダ州立大学名誉教授)とその提案の内容の妥当性についての議論も行った(現在継続中).また,Volitionチェックリストの開発の基礎となる,ARCS-Vモデルヒント集と「学習意欲のデザインステップ表」を開発した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ARCS+ATモデルの理論的妥当性を検証するための先行研究調査については,ARCS動機づけモデル提唱者であるJ.M.Keller教授が新たに提案したARCS-Vモデルの関連研究をはじめ,ARCS-Vモデルの理論的背景となる活動制御理論や自己制御学習などについての国内外の研究事例について調べることができた.これにより,AT要因に関わりそうだと予想されるV要因について理解を深めることができた.しかし,V要因研究に時間を要したため,V要因とAT要因の関連性の検証については,まだ実施できていないところがやや遅れている点といえる.とはいえ,V研究への貢献として下位分類提案を行ったことで,AT要因への適用の下地を作る作業は進められた.次に,研究予定項目である,機関のためのARCS+ATチェックリストの試用については,先述のAT要因研究が遅延しているため未実施であり,平成25年度に急ぎ進める. もうひとつの研究予定項目である,教員のためのVolitionチェックリスト作成については,Volitionチェックリストの素案を作成した段階で,V要因研究の進捗(下位分類提案~実践有効性研究)があったことから,Volitionチェックリスト作成に替えて,ここで活用するためのARCS-Vモデルのヒント集をまず作成した.このヒント集を使ってARCS-Vモデルの実践有効性を検証することにより,追ってVolitionチェックリストを作成する際に活きる知見を得られるものと考えらえるため,相応の意義があると考える.なお,これらの研究に関する進捗や成果については,国内外の学会にて発表している.ARCS-VモデルのV要因の下位分類提案研究については,国際ジャーナルに採録予定となっており,研究の成果として挙げられる.
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今後の研究の推進方策 |
まずは,現在進行中のARCS-Vモデルの実践有効性検証を推し進める.ここでは,ARCS-Vモデルにもとづいて作成した実践における動機づけ方策のヒント集と学習意欲のデザインステップ表を活用し,実験協力者(=大学教員)を条件の異なる複数グループに分けて,学習意欲の課題に対する対応方策の起案状況を比較することでVolition要因の実践有効性を示すことを試みる.この実験の結果を踏まえ,V要因とAT要因を対比し,適用の可否を検証してAT要因の再定義を試みる.また,ARCS-Vモデルのヒント集を援用して教員のためのVolitionチェックリスト作成を試みる.ここまでの成果にもとづいてARCS+ATモデルならびにARCS+ATチェックリストを改善し,これをもってARCS+ATモデルの試用実験を行う.実験では,複数大学のeラーニング運用担当者に協力を得て,試用結果と使用感などのフィードバックを得る.進捗次第で,フィードバックを分析し,ARCS+ATモデルの改善を行う.また,それぞれの研究成果は,適宜学会発表や論文投稿を行い,国内外の教育工学研究者と意見交換等を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究費は,ARCS-Vモデルの実践有効性検証のための実験・調査のための旅費や事務費,その他研究協力者の旅費等に使用する.また,J.M.Keller教授をはじめとする国内外のID専門家へのリサーチに係る謝金や旅費等に使用する.その他,活動制御理論や自己制御理論のみならず,広く動機づけ研究に関連する書籍の購入や関連論文の入手時の経費,データ分析に係るソフト購入などの経費,そして研究成果の発表のための国内外学会発表のためにかかる諸経費,論文投稿における諸経費などにも使用する.
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