昨年度までに,運動療法のための風船バレーボールゲーム(コンピュータビデオゲーム)について,運動能力が異なるプレイヤどうしが対等に競技するための支援手法を開発した.具体的には,筋力障がい者と視覚障がい者が,それぞれに対する支援によってプレイできるゲームシステムを開発した.また実験により,筋力を制限されたプレイヤと視覚を制限されたプレイヤに対する支援効果を評価した.いずれの制限においても支援効果が見られたが,視覚の制限については制限効果が当初の見込みより小さく,視覚を制限されたプレイヤが支援によって優位となってしまった.そこで本年度は,視覚の制限効果を強化し,かつ視覚支援の度合いを小さくして再度実験を行った.実験は,健常者18名(大学生)の実験参加者を3人1組で6組に分け,各組は,視覚を制限したプレイヤと,筋力を制限したプレイヤ,および健常者のプレイヤ,で構成した.ゲームは,ボールを打ち返せなかった回数の割合(失点率)を競うこととし,支援がある場合と無い場合の2セッションを行った.実験の結果,支援により3者が拮抗する状況を実現できることを確認した. 筋力の障がいに対する支援手法は,筋力障がい者のアバタと筋力障がいの無いプレイヤのアバタとの距離を近づけることで,筋力障がい者のゲーム画面でのボールの動きを遅することで実現している.本年度は,プレイヤ間の距離を適切に決定する方法を定式化した. さらに本年度は,ゲームシステムの構成要素(デプスセンサ等)を用いて新たな研究テーマの基礎的研究を開始した.スポーツの3Dモーションキャプチャによるシーン検索の研究であり,デプスセンサで得られるプレイヤの3D点群データの特徴量を用いた検索の可能性を確認した.
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