研究課題/領域番号 |
24501230
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 久留米工業大学 |
研究代表者 |
小田 まり子 久留米工業大学, 工学部, 准教授 (20269046)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 障がい児教育 / CG / 教育支援 |
研究概要 |
知的障害がある児童の学習において、コンピュータは非常に有効な教材・教具である。それは、コンピュータの双方向性や、視覚的、聴覚的な多様な表現により、児童の興味関心を引くことが可能であるからだ。 本研究では、中重度知的障害児用学習支援教材システムの開発から、久留米市立特別支援学校でのシステム利用教育および学習効果の検証までを期間内に実施することを目標としている。平成24年度は、知的障害児のための3次元CGアニメーションを用いた教育支援ソフトウエアを開発した。 最初に、文字に興味を持たず、平仮名が読めない児童のために、平仮名文字学習CGアニメーションを開発した。これにより、学習者は平仮名の形状を認識し、発音と平仮名の関係を学ぶことができる。また、学習者個人毎に用意した口唇動作CGアニメーションを見ながら、発音練習が可能であり、文字、発音、口唇動作を組み合わせて学習できる。児童の理解度、定着度を確認しながら学習が進められるように、ドリル型やゲーム型の平仮名学習教材ソフトウエアも開発した。 一方で、文字の認識は可能であると推察されるが、音声言語による表出が困難な児童のために、コミュニケーションツールを開発した。これは、シンボルをPC の画面上に表示し、それを利用者自身で選択することで意思の伝達を図り、自分の伝えたい言葉を合成音声が読み上げる仕組みとした。PC を利用することで、利用者が使い慣れたシンボルや画像を用いることができ、利用の履歴から表示順を並び変えたり、次に選択したいであろう画像を予測するなど、利用者に合わせてカスタマイズを行うことができる。 開発した教材ソフトウエアを実際に、特別支援学校で試験的に利用することもできた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、中重度知的障害児用学習支援教材システムの開発から、久留米市立特別支援学校でのシステム利用教育および学習効果の検証までを期間内に実施することを目標に、研究を進めている。 (1)対象児童の顔モデルによる正しい口唇動作、発音の学習教材や3D-CGアニメーションによる文字の学習教材ソフトウエアを開発する。(2)特別支援学校において、システムの利用環境を整える。 (3)開発した教材を特別支援学校で試験的に利用し、児童の反応、教員の意見を参考に教材ソフトウエア、ユーザインタフェースの改良を行う。(4)特別支援学級において本学習支援教材システムを利用した本格的な授業をスタートする。(5)久留米工業大学学生の支援体制も整え、継続的に授業を支援できるようにする。(6)3D-CGアニメーション、音声などを用いた学習支援教材の学習効果を検証する。(7)開発した教材システム、学習効果、効果的な教育方法について学会発表、論文発表を行う。 今年度、(1)の学習教材ソフトウエアの試作,(3)の特別支援学校における試験的利用を行うことができた。また、(5)の久留米工業大学学生の支援学生も14名集まり、平成25年度より、継続的な授業支援が実施できる準備が整っている。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は以下の研究を行う。 (1) 文字・発音学習3D対応CGアニメーション開発の継続と改良:教員の意見を参考に、文字・教材学習3D対応CGアニメーションや教材ソフトウエアの改良を行う。 (2) 口唇動作CGアニメーション開発の継続と改良:学習者対応の口唇動作モデルCGアニメーションの開発、改良を継続する。 (3) クイズ型教材ソフトウエアの開発:文字・発音をCGアニメーションで学習した後に、クイズ形式の選択問題に答えながら文字の読みを学習する教材ソフトウエアを開発する。楽しみながら、学習効果を確認できるようにする。 (4) シンボルを用いたコミュニケーションツールの開発と利用:シンボルをPC の画面上に表示し、それを利用者自身で選択することで意思の伝達を図り、自分の伝えたい言葉を合成音声が読み上げるソフトウエアを開発し、児童の利用を支援する。 (5)本格的な授業への導入:久留米工業大学学生のサポートのもと、本格的に学習支援教材システムを導入した授業を実施する。
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次年度の研究費の使用計画 |
特別支援学校で、本ソフトウエアを利用するための持ち運びしやすいノートパソコンとタブレット端末を5台程度購入する予定である。また、CGアニメーションを提示する 大型ディスプレイ、プロジェクタなどを購入する予定です。その他、学会発表の際の旅費、学生の支援に対する謝金などを予定している。
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