研究課題/領域番号 |
24501231
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研究機関 | 名古屋学芸大学短期大学部 |
研究代表者 |
内田 君子 名古屋学芸大学短期大学部, 現代総合学科, 准教授 (50241196)
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研究分担者 |
大矢 芳彦 名古屋外国語大学, 外国語学部, 教授 (30175252)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 情報基礎教育 / ペア学習 / 阻害要因 |
研究実績の概要 |
本研究は、ペア効果抑制傾向の実態を把握しその解決アプローチの策定・検証を行うことによって、大学情報基礎教育に適合するペア学習モデルを構築することを目的としている。 平成24年度には、ペア学習実験授業データの分析結果に基づいて提案された阻害要因解決案の実験授業を数回試行し、学習効果の変容について分析を行なった。そして平成25年に、ペア学習効果算出のための個人試験とペアワーク実験授業、パーソナリティ調査、事後アンケート調査を実施し、TEGⅡ(性格調査)およびGAMI(学習意欲調査)によって抽出されたパーソナリティの特徴が、成績上昇度やペアワーク満足度、ペアワーク活性度に関与していることを明らかにした。2年間の研究成果に基づき、当該年度の目的は、パーソナリティポイント(PS)が低いもの同士のペア編成を防ぐことによってクラス全体の学習効果が高まることを確認すると同時に、3年間のペアワーク実験授業結果から阻害要因解決法の検証を行い、簡便で実効性のあるペア学習法を確立することであった。そこで、平成26年前期に、愛知県内の私立大学2大学3学部4クラスの新入生を対象とした情報基礎科目の受講者約160名にペアワークの実験授業を試みた。週1回90分の授業15回の1回目授業で情報基礎教育開始時の被験者状況に関する事前調査、10回目から11回目にペア効果算出のための個人試験とペアワーク実験授業、パーソナリティ調査、事後アンケート調査を実施し、得られたデータを分析した。特に今回はPSに基づいて10回目と11回目のペアを一部組み直した。その結果、3つのPSを用いたペア編成法を適用することにより、成績上昇度、ペアワーク活性度、ペアワーク満足度においてその効果が明らかとなり、提案手法の有効性を確認すると同時に、これらを元に実効性を持つペア学習法を確立することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、ペア効果阻害要因のひとつと考えられる受講生のパーソナリティについて、3つのパーソナリティポイント(PS)を用いたペア編成法を考案し、情報基礎科目を対象とした検証授業により成績上昇度、ペアワーク活性度、ペアワーク満足度において効果が明らかとなり、その有効性を確認した。そして、3年間の研究成果から、ペア効果阻害要因を考慮したひとつのペア学習法を確立することができた。これはほぼ研究計画に従った内容になっており、本研究は順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
26年度実施のペア学習実験授業データ分析結果により確立されたパーソナリティポイント(PS)が低いもの同士のペア編成を防ぐ手法に基づき、個別に検証した3つのPSを27年度は併用して基礎学力差+性別+3つのPSを用いたペア編成でペアワークを実践し、提案するペア編成法がどの程度効果があるのか確認することを目的とする。具体的には、基礎学力差、性別、3つのPSによるペア編成群(実験群)と乱数によるペア編成群(統制群)でペアワークテストを行い、成績上昇度、ペアワーク活性度、ペアワーク満足度を比較し、基礎学力・性別・PSを用いたペア編成法の効果検証を行う。同時に、ペア学習の阻害要因である、課題の特性・時間的制約・教室の環境・教員の特性・学習者特性・互いの相性・学習意欲・発話の特性を4年間のデータに基づいて分析し、ペア学習効果に影響を与える要因とその排除方法を明らかにし、最終目的である情報基礎教育に適応したひとつのペア学習モデルを提示する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
データ入力作業への謝金などが少なくてすんだため。
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次年度使用額の使用計画 |
消耗品として、音声・映像データ収集に必要な電池や媒体、性格調査およびアンケート調査のための用紙およびデータ整理のための記憶媒体とファイルケースが必要となる。大量のデータを整理するために謝金が必要となる他、音声データの文字起こしを業者に委託する予定である。また、成果発表のため、教育工学会、国際会議などの旅費が必要となる。なお、この使用計画は、申請した研究計画に基づく経費の使用に追従するものである。
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