研究課題/領域番号 |
24501239
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研究機関 | 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構(新領域融合研究センター及びライフサイ |
研究代表者 |
阿辺川 武 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構(新領域融合研究センター及びライフサイ, 新領域融合研究センター, 特任准教授 (00431776)
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研究分担者 |
室田 真男 東京工業大学, 社会理工学研究科, 教授 (30222342)
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キーワード | 日本語教育 / 作文支援 / 評価実験 / 学習者コーパス / 国際情報交換(中国、スロベニア) |
研究概要 |
近年、日本語教育の分野では、学習者作文コーパスと自然言語処理の技術を利用して作文に含まれる誤用を自動的に検出し、作文推敲の支援をする研究が行われているという背景のもと、本年度も昨年度に引き続き、レジスターの誤り検出を中心とした日本語作文推敲支援システム「ナツメグ」の開発を進めた。 システムの開発と平行して、日本語学習者に対し実際にレポート形式の作文を書いてもらい、その後、「ナツメグ」を利用して推敲することを想定したシステム評価実験をおこなった。実験では、課題ごとにテーマとプロンプトを示し、学習者がそれに関する作文を一通り書き終えてから、1回だけレジスターの誤り検出機能による添削を受けて書き直せるようにした。1回に制限した理由は、誤用検出精度が100%でないシステムに対して,誤用の指摘がなくなるまで修正を繰り返し試行し、過度にシステムに依存した表現なってしまうことを防ぐためである。被験者には4つの課題を提示し、各課題に取り組む間隔は最低3日間となるよう設定した。 本実験では日本、中国、スロベニアの各大学で日本語を学ぶ37人の被験者による148個の作文を収集した。発表では、作文中の誤用指摘数や訂正箇所数、およびそれらの数値と学習者の日本語運用能力との相関など基本的な集計結果の他、実験終了後に実施したシステムに関するアンケートの分析を行なった. 初回と2回目の作文の比較から、誤用指摘箇所の数が減っていることが確認された。しかし3回目では指摘箇所の数が増加しており、課題の内容によりレジスター誤りに増減があることがわかった。また、アンケートからは、誤用指摘箇所に対してどのように訂正したらよいかがわからない、訂正のヒントとなるような情報をもっと提示できないかという意見が多く見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の目的として提案した手法を組み込んだシステム構築、およびシステムの利用者評価実験があった。システム構築は評価実験の時期までに完成し、評価実験については想定していた実験手順で実現でき、そして被験者もおおむね想定通りの人数・母国語の多様性で実施することができた。以上により25年度の研究目的の達成度については、おおおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
最初に昨年度実施した評価実験の分析を、母国語や日本語能力レベルなど様々な視点から行ない、学習者属性に応じてどのような作文支援が有効であるかを解明する。次に、この分析結果を参考にし、日本語学習支援システム「なつめ」「ナツメグ」の機能強化を実施する。 平成26年度は本研究課題の最終年度にあたるため、上記システムのインターネット一般公開、および評価実験で収集した学習者作文コーパスの公開を予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
被験者実験を実施する際に、被験者への協力謝礼として用意していたが、被験者の構成に学生が多く、想定していた金額よりも小額の謝金で済んだため。 次年度は最終年度であるため、被験者実験から得られたデータを集計・整理し、Web上で成果を公開するための費用に充てる。
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