研究課題/領域番号 |
24501241
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡本 拓司 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (30262421)
|
研究分担者 |
横山 ゆりか(今井ゆりか) 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (20251324)
折茂 克哉 東京大学, 総合文化研究科, 助教 (30376579)
高橋 雄造 電気通信大学, UECコミュニケーションミュージアム, 学術調査員 (60055225)
夏目 賢一 金沢工業大学, 基礎教育部, 講師 (70449429)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 工部大学校 / 工科大学 / 学位 / 測量 / 画学 |
研究概要 |
本年度中には、新たに発見された田丸節郎・木村駿吉関係の資料の調査・複製を行うと同時に、明治期半ばまでの国内外の工学教育研究機関の動向を調査した。特に、岡本は森有礼が文部行政に関わる前後の状況を調査し、文部省の教育機関への工学の取り込みが、森以前の大木喬任時代にも見られる姿勢であることを確認した。また、日露戦争時の物理学者の技術者としての活動の一例として、木村駿吉による無線電信の開発について調査を行った。 高橋は、日本および欧米ほかにおける高等教育・中等教育と工学の成立についての資料を収集し,また,茨城県立歴史館(水戸市)の展示(日立製作所の家電部門の製品史)における工学と研究開発の関係の事例を調査した.この年度の成果として,博物館学の論文(査読付)と技術史の学会発表各1件がある。 夏目は、文部省と各高等中学校との間で行われた、明治二十年代に進められた学科課程についての内実の調査のため、熊本大学の五高記念館の「高等学校長会議決議」や「協議会」などの当時の資料を閲覧した。その結果、文部省が各校の教育を「合同一体」のものになるよう各学校長に要請していたことについては、あらためて資料から確かめられたものの、実際には一高と他校で異なっていた事実の原因を確認する手掛かりまでは得られなかった。また、京都大学の大学文書館を訪問し、明治19年から20年代にわたっての、科目改定に関する資料を中心に調査した。とくに「訓諭牒類」「専門学務局往復書類」「文部省伺指令」などでは、第一外国語(英語)教育や数学、日本史教育が重視される一方で、従来は別であった力学が物理学に統合される意図などを部分的に(第一部や予科に関して)確認できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、田丸節郎・木村駿吉に関する新たな資料が発見された。いずれも、化学分野・物理学分野から、工学・技術関連の研究・教育に貢献した人物であり、発見された資料は貴重なものであったため、岡本は、その調査・複製に力を注いだ。このため、当初に設定した、帝国大学設立前後の動向の調査という目標を充分に達成することはできなかった。 夏目は、三高・五高の調査を行い、以後、工学教育の充実に向けた研究を行うための準備をおえることができた。 ほかはおおむね順調に研究を達成している。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度あらたに入手した田丸節郎・木村駿吉の資料の調査を継続し、昨年度に複製を作成することのできなかった分については、今年度中にこれを実施することを目指す。岡本は、帝国大学成立前後に見られた、文部省への工学教育・研究機関の取り込みの動向について、さらに調査・検討を行うと同時に、諸外国との比較を、要点を明らかにしながら実施していきたい。横山は図学・測量関係の資料の調査と、それらの教育の実態を明らかにする。折茂は資料保全に関する作業を引き続き行う。 高橋は、電気工学の確立の初期の状況を、諸外国の例と比較しながら明らかにする。 夏目は、各地の高等(中)学校における工学教育確立の実態を明らかにするための資料収集を、引き続き行う。
|
次年度の研究費の使用計画 |
田丸節郎・木村駿吉資料の調査・複製作成、各地の工学関連の教育・研究機関、特に高等(中)学校の教育の実態解明のための出張と資料収集、資料整理のための物品類の入手、資料整理の実施のための作業、等に支出する。
|