ルカ・パチョーリ(1445頃-1517)はルネサンス期イタリアの代表的数学者である.その刊本と手稿の数学著作を相互に比較参照し,パチョーリの数学の全体像を捉える.主著『算術,幾何学,比,比例大全』(1494)とそれに先立って書かれた大学講義録『ペルージア手稿』を内容,記述法などの点で相互比較し,両者の間でパチョーリがどのように数学を進展させたかを考察した.また『量の力』は西洋における従来の数学や数学遊戯の総合百科と捉えることができると同時に,そこに新たな見解が加えられ,独創的な作品になっていることを示した.
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