本年度は,多方向大量同時計測システムで計測した4方向からの計測点群に対して,次の処理を実現して,石器接合資料を自動生成するための支援技術を開発した. 1.表面モデル生成および欠落補間(H24-H26):H25に開発した位置あわせ機能により,位置合わせ後の整列されてない点群からポリゴンモデルを生成する機能を開発した.また,生成されたポリゴンモデルの表面欠落部分を検出して,形状スライス手法による穴埋め機能を新たに開発した.穴埋め手法は,頑健性が要求されるため,岩手県埋蔵文化財センターから資料を提供してもらい,下嵐江遺跡から出土した石器の計測データを用いて,穴埋め機能をテストして不具合を修正した. 2.形状特徴に基づく剥離面抽出と剥離面マッチング(H24-H26): 申請者らが開発していたマッチング手法の速度を向上するため,D2 を用いた高速化手法を組み込み,約8倍の高速化を達成した.また,複数の石器を組み合わせた後で表れるより大きな剥離面を再構築する手法を開発して,従来よりも複雑なマッチングが可能となった.この成果は,芸術科学会論文誌にて発表した. 3.破片の組み立てに関する評価・検証(H25-H26):連携研究者が製作した模造石器を計測して,2.の手法を適用したところ良好な結果が得られたので,連携研究者と本手法を評価・検証した.その結果,人間では接合が困難な石器も,本手法では実現可能性が高いことがわかった. 4.大規模データによる手法の拡張と問題点の明確化(H26):大規模データで本手法を検証するため,下嵐江遺跡から出土した石器データを計測して, 本手法の課題を検討した.
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