研究課題/領域番号 |
24501254
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鈴木 敏彦 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (70261518)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 古人骨 / 縄文時代 / 骨考古学 / 咬耗 / エナメル質減形成 / 食性分析 / 古病理 / 古人口 |
研究概要 |
本研究は,特に関東地方の縄文時代人骨を調査の対象として,人骨に残された生活痕跡の多角的な検討を行い,遺跡単位あるいは地域単位の小個体群に分けた生活史・生活誌の多様性を明らかにしようとするものである。 本年度はその第一段階として,平成24年9月に中妻貝塚遺跡(茨城県)出土人骨の調査,同年11月および12月に大膳野南遺跡(千葉県)出土人骨の調査を行った(研究代表者,連携研究者)。本遺跡は両者とも関東地方縄文時代遺跡では出土個体数が多く,まとまったデータが採取可能であった。研究代表者は歯の一般的形態的特徴および咬耗状態の精査,連携研究者はエナメル質減形成に関する精査を行った。まだ論文として結果を報告する段階には至っていないが,途中経過は平成24年11月2日~4日に行われた日本人類学会大会にて発表を行った。さらに平成25年2月6日に,聖マリアンナ医科大学にて本科研費の研究発表会を開催し,研究代表者および連携研究者ほかによる成果発表を行った。現在は各地域の縄文時代人骨および他時代の出土人骨から得られた対照データと比較した分析を続行中である。まだ汎遺跡的な調査の途上であるためために全体的特徴は明らかになってはいないが,例えばこれまで行われていなかった遺跡間でのエナメル質減形成の出現率の比較を行うなど,出土人骨の特性を小集団ごとに把握し検討するために必要な方法論的な寄与は確認できた。また他地域の縄文時代人骨の特性をより正確に把握検討するための基礎資料としても,今年度得られた関東地方出土人骨のデータの有効活用が図られている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者および連携研究者による資料調査の実施が予定よりも少なく,データの蓄積が当初の予定よりも若干遅れている。研究代表者に関しては,東日本大震災への復興事業にも携わっており,これが時限的・緊急的性格を有するために優先度がより高かったことにより本研究課題に対するエフォートが若干低下したためであるが,次年度以降の研究進捗により十分回復可能なレベルの遅れであり,当初の研究計画に対する影響はない。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に大きな変更点はない。研究代表者,連携研究者ともに当初分担した研究内容分掌にのっとって研究を遂行していく。研究手法としては三次元計測装置の導入により形態的分析方法を更にレベルアップさせる。また新たに研究協力者の参画を予定しており,効率的な研究遂行が見込まれる。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は,当初計画していた資料調査およびその整理に要する謝金等を次年度に延期することによって生じたものが大部分であり,平成25年度請求額とあわせ,平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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