研究課題/領域番号 |
24501254
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鈴木 敏彦 東北大学, 歯学研究科(研究院), 准教授 (70261518)
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キーワード | 古人骨 / 縄文時代 / 骨考古学 / 咬耗 / エナメル質減形成 / 食性分析 / 古病理 / 古人口 |
研究概要 |
本研究は,特に関東地方の縄文時代人骨を調査の対象として,人骨に残された生活痕跡の多角的な分析と検討を行い,遺跡単位あるいは地域単位の小個体群に分けた生活史・生活誌の多様性を明らかにしようとするものである。 研究初年度である平成24年度には,関東地方の縄文時代遺跡である中妻貝塚遺跡・大膳野南遺跡出土人骨について歯の形態的特徴,咬耗状態,エナメル質減形成に関する精査を行った。また分析の途中経過を学会・研究会にて発表した。研究期間の2年目に当たる平成25年度は引き続き既発掘の各地域の縄文時代人骨の調査を進めるとともに,平成25年11月1日~4日に行われた第67回日本人類学会大会において研究成果の発表を行った。また平成26年2月13日に聖マリアンナ医科大学において本科研費その他の合同研究発表会を開催した。さらに平成24年度に調査した大膳野南遺跡人骨に関して発掘調査報告書掲載用の原稿の執筆を進め,これは平成26年度内に刊行予定となっている。関東地方以外の縄文時代人骨に関しても,出土例が乏しい日本海側の資料として青森県五月女萢遺跡および青森県田小屋野貝塚出土の人骨に関して形態的検討を行った結果を論文として公表した。また進行中の発掘調査において出土した古人骨の鑑定依頼も数件受託し,鑑定報告に本研究の成果をフィードバックする機会が得られた。 現在は引き続き各地域・時代のデータを包括した分析を続行中である。特に出自が明らかな現代人の個体歯の資料を多数入手できる機会を得たことにより,この歯の精査を行うことで縄文時代人をはじめとした各地域・各時代の歯の形質を比較するための安定した基準を設定することが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度内での他施設所蔵の古人骨資料調査の実施は予定よりも少なかったが,平成24年度に得られたデータの解析を進めたほか,過去に資料を撮影した写真データや現代人の比較資料を入手したことによりデスクワークとして研究を進行させることができた。現在までの成果に関しても学会・研究会・報告書・論文として発表を行い,総じておおむね順調に研究が進行していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に大きな変更点はない。研究代表者,連携研究者ともに当初の研究内容分掌にのっとって研究を各自遂行していく。研究最終年度に当たる平成26年度は,秋に開催される予定である第68回日本人類学会大会においてシンポジウムを企画し,研究成果を総括的に発表することを予定している。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は,当初計画していた資料調査を次年度に延期したこと,及び研究を効率的に推進したことに伴いデータ整理等の作業の依頼が当初の計画よりも少なかったことにより生じたものである。 次年度に実施する資料調査および研究成果発表のシンポジウム開催に必要な経費として,平成26年度請求額とあわせて研究遂行に使用する予定である。
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