本研究の目的は人工の磁場と電流の二種類の信号を発生させ、両者の応答を測定・観測することにより、地下埋蔵物を検知する手法の開発を目指すことにある。人工の磁場と電流を用いた探査手法の基礎を確立し、実用化に向けた問題点を明らかにすることを目標とする。 磁場波形を発生させるコントローラーを自作し、パワーアンプに導いて、その出力をコイルに接続して磁場発生装置を完成させた。同様に、電流波形を発生させるコントローラーを自作し、パワーアンプに導いて、その出力を地表に設置した電極に流した。磁場信号を受信するために、コイルを自作し、得られた出力を増幅して記録計に記録した。電流信号は設置した2本の電極間隔の電圧を測定することにより記録した。発生させた磁場と電流に同期して信号を記録するため、GPS信号の1秒パルスを送信と受信の際に利用した。しかし、GPS信号の受信状態が悪い場合には不都合が生じたため、GPS信号の受信状態が悪い場合には、内部で発生させる1秒パルスを利用できるように工夫した。この処理により、安定して測定が可能となり、現場で取得したデータを重ね合わせて、ノイズを低減させることができた。このデータを用いて、距離による信号の減衰特性と、周囲と違った物体がある場合の減衰特性の変化を比較して、地下埋蔵物を検出することが可能であることを示した。最終年度では、移動観測を容易にするための方策と、送信部と受信部の改良を行った。実証試験を行い、磁場と電流の二種類の信号を用いて、これらの応答を検知することにより、地下埋蔵物を推定することが可能であることを示した。
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