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2013 年度 実施状況報告書

展示・収蔵施設における有機酸等の空気汚染物質の調査と除去剤の開発

研究課題

研究課題/領域番号 24501259
研究機関別府大学

研究代表者

渡辺 智恵美  別府大学, 文学部, 教授 (40175104)

キーワード空気汚染物質 / 展示・収蔵施設 / 除去剤 / 有機酸
研究概要

博物館等で、内装材や展示・収蔵材、建屋から発生する有機酸(酢酸、ギ酸、ホルムアルデヒド等)やアンモニアによる収蔵物への被害を軽減するために有機酸等吸着剤(除去剤)を開発することを目的としている。あわせて、①局所的に設置でき、取扱いが簡便で安全であること、②中・小規模の施設でも常時利用できるよう低価格で供給できることを視野に入れた。
平成24年度に試作した吸着剤の臨床実験において充分な性能が得られなかったため、今年度は新たにカキ殻を添加したパルプを抄紙し、シート状にして実験を行った。また吸着能力を高めるため、片ダン加工(シートを2枚重ねにして一方をダンボール状にする)を施した。カキ殻配合量を変えたもの(無添加、3%、5%、7%)を試作し、物性評価(加速劣化試験など)を行った結果、わずかに低下している項目はあるものの、問題ないと判断した。今回は配合量3%と7%のものを採用した。
博物館等で一般的に用いられる展示台(15㎝×15㎝×5㎝)を試作し、密閉容器(デシケータ利用)に入れ、一方は除去剤を同梱し、他方は除去剤なしの2種類で有機酸の吸着実験を行った。当該実験を研究協力者が所属する愛媛県紙産業技術センターと別府大学で実施し、定期的にデシケータ内の有機酸濃度を測定した(SPME-GC/MS法利用)。また臨床実験に向けて、実際に用いられる独立展示ケース(展示スペース180㎝×80㎝×120㎝)内に除去シートを設置して除去能力を検査した。実験の結果、除去剤を設置した方が明らかに有機酸濃度が低くなっており、とくにデシケータ実験では初期段階で急速に低くなることが判明したため、製作直後の展示台の有機酸を軽減する方法についても実験する。今後はこの除去剤を実際の展示施設で実験し、吸着効果の限界を探り製品化する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

初年度に試作した除去剤の性能に問題があったため、新たな除去剤を試作するのに時間を要した。また抄紙機利用の日程が合わず、臨床実験に使用する除去シートの作製が最終年度にずれ込んでしまった(平成26年5月初めに抄紙・加工済み)。そのため、臨床実験の開始が遅れている。

今後の研究の推進方策

博物館等での臨床実験を速やかに開始し、除去剤の適正量の把握と温湿度等による有機酸吸着性能を検査する。
初年度の聞き取り調査で明らかになった、新しく製作した展示ケースの「枯らし」時間の短縮する方法について、抄紙前の材料を利用した実験を行い、その能力を検査する。
SPME-GC/MSを用いた有機酸濃度の測定は、測定日によるばらつきがでるため、検知管法がより適していると思われる。しかし、狭小な展示ケースや実験用機器では測定が難しいため、代替案を考える必要がある。

次年度の研究費の使用計画

当初計画していた有機酸除去シートの抄紙が次年度にずれ込んだため、支出ができなかった。そのため、実験が遅れており、採取したデータの整理作業(謝金)が支払えなかった。
大量に抄紙した除去シートを使用して臨床実験を行い、実際に製品化する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 紙素紙素材を用いた大気中の有機酸・アンモニアの除去法に関する研究2014

    • 著者名/発表者名
      西田典由、國武哲則、大井辰夫、渡辺智恵美
    • 学会等名
      日本文化財科学会
    • 発表場所
      奈良教育大学
    • 年月日
      20140705-20140706

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公開日: 2015-05-28  

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