研究課題/領域番号 |
24501260
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研究機関 | 北海道開拓記念館 |
研究代表者 |
小林 幸雄 北海道開拓記念館, 学芸部, 学芸員 (10113466)
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研究分担者 |
杉山 智昭 北海道開拓記念館, 学芸部, 学芸員 (90446310)
相山 英明 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, その他部局等, 研究員 (90503003)
田中 大之 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, その他部局等, 研究員 (50469699)
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キーワード | 漆櫛 / 縄文時代 / 製作技術 |
研究概要 |
縄文文化の漆工品はきわだつ存在感を有し、縄文文化の実像を探るためには必須の重要資料と位置づけられる。しかし、多くが第一級の史料であるのと同時にきわめて脆弱であるため、詳細な検討を進めていく場合の制約は多い。本研究は、縄文文化の漆工品を代表する“漆櫛”について、実際の製作技術を“作り手の立場”から復元することを目的におこなうものである。このために以下のことを実施した。 (1)マイクロフォーカスX線CTシステムを用いた内部構造調査:①本装置によると、漆櫛の内部構造を三次元的にしかも非接触的に検討することが可能であり、製作段階の技術を実証的に明らかにすることが期待される。当該年度は、研究計画の2年度目にあたり、撮影条件・撮影方法などの基礎的条件を確認するなど所期の成果を得た。②なお、X線CTの撮影方法・条件を比較するために、「アイヌ文化の漆椀」を取り上げての検討をおこない、有益な知見を得た。 (2)製作手順の実験的復元:縄文文化の漆櫛は、①櫛歯の結束、②塑形、③塗彩の手順をへることによって製作されたことが推定される。今年度はとくに櫛歯の結束について、前年度に引き続いて、モデル的な製作技術を想定することによる実験的復元を進めた。 (3)製作技術の比較検討:縄文時代の漆櫛は、縄文前期に出現して以来、時代・地域、さらには個々の漆櫛によって製作技術の差異がみられる、本研究は、その全体像を明らかにすることを目的に進めるものであり、そのために前年度に引き続いて、発掘調査報告書における関係情報のデータベース化に努めた。また今年度については、北海道の出土例との類似性がみられる富山県桜町遺跡出土例について実見し、技法上の差異を確認した。加えて、埼玉県下宅部遺跡出土例との差異について、担当者と議論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、マイクロフォーカスX線CTシステムを用いて、漆櫛の内部構造を非破壊的にしかも三次元的に検討し、製作諸段階の技術を実証的に明らかにすることを中心に進める。これまでに本装置の撮影条件などの基礎的データを確認しており、北海道内における縄文後期末葉の出土例を中心に具体的検討を進め、所期の成果が得られている。今後、マイクロフォーカスX線CTシステムを用いた検討事例を追加することで、地域・時代の異なる漆櫛を取り上げて製作諸技術を実証的に明らかにする。
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今後の研究の推進方策 |
縄文文化の漆櫛について、(1)マイクロフォーカスX線CTシステムを用いた内部構造調査、(2)製作手順・内容に関わる実験的復元、(3)製作技術の差異に関わる比較検討など調査資料を追加する中で引き続いて進める。また、この間に得られた成果に基づいて、(ア)博物館における普及活動の一環としての体験学習「縄文文化の漆櫛作り」の素材作り、(イ)中間報告・学会発表をおこなう。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該研究計画に関わる研究会を年度末(平成26年3月)に開催する予定で準備を進めていたが、招聘予定の研究者に不都合が生じ、調整がつかなかったために延期した。このための所要費用(予定)が残額として発生した。 前年度(H25)開催予定の研究会は、今年度(H26)に実施する。このため、執行予定の経費に大きな差は生じない。
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