研究課題/領域番号 |
24501260
|
研究機関 | 北海道開拓記念館 |
研究代表者 |
小林 幸雄 北海道開拓記念館, 学芸部, 学芸員 (10113466)
|
研究分担者 |
杉山 智昭 北海道開拓記念館, 学芸部, 学芸員 (90446310)
相山 英明 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, その他部局等, 研究員 (90503003)
田中 大之 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, その他部局等, 研究員 (50469699)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 漆櫛 / 縄文文化 / 製作技術 / X線CT |
研究実績の概要 |
縄文文化の漆工品はきわだつ存在感を有し、縄文文化の実像を探るためには必須の重要資料と位置づけられる。しかし、多くが第一級の史料であるのと同時にきわめて脆弱であるため、詳細な検討を進めていく場合の制約は多い。本研究は、縄文文化の漆工品を代表する“漆櫛”について、実際の製作技術を“作り手の立場”から復元することを目的としておこなうものである。このために、以下のことを実施した。 (1)Ⅹ線CTシステムを用いた内部構造調査;①本装置によると、漆櫛の内部構造を三次元的にしかも非接触的に検討することが可能であり、製作段階の技術を実証的に明らかにすることが期待される。研究計画の最終年度に当たって、これまでに蓄積した撮影条件・撮影方法などを基礎的条件として、恵庭市カリンバ遺跡出土漆櫛(縄文文化後期末葉)、小樽市忍路土場遺跡出土漆櫛、八雲町野田生1遺跡(ともに縄文文化後期中葉)などの実物資料を調査し所期の成果を得た。②あわせて、Ⅹ線CTの撮影方法・条件を比較するために、「アイヌ文化の漆椀」を取り上げて検討した。 (2)製作手順の実験的復元;縄文文化の漆櫛は、①櫛歯の結束、②塑形、③塗彩の手順をへることによって製作されたことが推定される。とくに櫛歯の結束について、モデル的な製作技術を想定することによる実験的復元を進めた。 (3)製作技術の比較検討;縄文文化の漆櫛は、縄文前期に出現して以来、時代・地域、さらには個々の漆櫛によって製作技術の差異がみられる。本研究は、その全体像を明らかにすることを目的に進めるものであり、そのために前年度に引き続いて、発掘調査報告書における関係情報のデータベース化に努めた。 (4)シンポジウムの開催;「縄文文化の漆櫛」をはじめとする文化財全般に関わるX線CT利用の活性化を目指して、「文化財調査におけるX線CTの活用」をテーマとするシンポジウムを開催した。
|