研究課題/領域番号 |
24501266
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
加藤 克 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教 (50321956)
|
研究分担者 |
高瀬 克範 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (00347254)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 考古学 / 千島 / 博物館資料 |
研究概要 |
平成24年度においては、本研究課題の第一目的である北海道大学植物園・博物館に所蔵されている千島・北海道東部地域の考古学資料の目録化の達成のため、該当資料の抽出と実測、図面化を進め、土器資料および骨角器の調査をほぼ終了した。これらを整理し、目録として刊行することで、多くの研究者の研究基盤が整備されることになる。特に、骨角器の原材料について、専門家の支援を受けて特定できたことは、資料価値を高める上で重要な成果となった。 上記に並行して、歴史的背景の調査として主たる資料収集者である名取武光や寄贈者が残した書簡等の調査を行った。名取の残した書簡類には当該考古資料に関係するものは残されていなかったが、いくつかの寄贈者や原所蔵者が残した書簡、メモ類が確認されたため、現存する考古資料との照合作業を行うための素地を整備することができた。また、研究協力者である根室市の博物館学芸員である猪熊によって、道東地域資料の採集者についての聞き取り調査、史料調査が進められ、資料情報を追加する準備が整った。あわせて、名取が博物館に残さなかった一部の資料が札幌国際大学に残されていることを確認し、それらに関連資料が含まれている可能性を見出した。これらの結果は、従来から資料に注記してあった情報意味を明確にすることやその精度を高めることになり、資料価値を向上させたという点で意義がある。 考古学的観点からの調査として、市立函館博物館、旭川市立博物館の所蔵資料の調査を行い、関連資料の所在確認と比較検討を実施した。これらの調査において他の所蔵機関の資料についての情報交換を行い、次年度以降に実施する調査を効率的に行う基盤を整備した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最終年度に予定している目録刊行に向けて、資料調査そのものは順調にすすんでいる。博物館資料史的調査は、博物館の収蔵庫の新営に伴う資料移動の関係で若干遅れているものの、研究遂行の支障になる程度ではない。
|
今後の研究の推進方策 |
計画初年度である平成24年度の成果を踏まえ、継続して石器資料の図面化等を着実にすすめてゆく。あわせて、当初調査対象としていた東北大学等よりも関連資料が多く所蔵されていることが確認された東京大学や天理大学の資料調査を行い、調査対象の資料価値をより向上させてゆく。 研究遂行の上で、北大植物園・博物館の耐震補強工事が平成25年度から26年度にかけて予定されおり、所蔵資料の移動・保管場所の確保の必要性から調査環境が悪化する可能性が懸念されるが、博物館との連携を密にして遅延することのないように配慮する。
|
次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度経費の節約により生じた使用残は、博物館資料史的調査を安全かつ効率的に実施するための資料移動用コンテナ(消耗品)を購入する。 平成25年度経費は主に研究協力者の北大植物園出張経費、東京大学等の資料調査の旅費、土器付着炭化物の成分分析および資料の図面化に関わる消耗品等に支出する予定である。
|