研究課題/領域番号 |
24501266
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
加藤 克 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 助教 (50321956)
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研究分担者 |
高瀬 克範 北海道大学, 文学研究科, 准教授 (00347254)
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キーワード | 考古学 / 千島 / 大学博物館 |
研究概要 |
北海道大学北方生物圏フィールド科学センター植物園・博物館所蔵考古資料の悉皆調査及び注記の撮影を80%ほど終了し、得られたデータのデータベース登録と従来のデータベース情報との照合を行った。これにより、これまで資料台帳上で「千島」収集という記載が行われていなかった千島収集資料を10点ほど追加することができた。また、各資料に施されている注記方法のグループ化、受け入れ時の書簡、収集した研究者の論文、報告、写真などとの照合により、採集者や収集時期などの情報がさらに追加できる可能性が示唆されている。この他、道東地域のアマチュア考古学者から寄贈された資料について、当時の新聞記事、関係者からの聞き取り調査などを実施し、資料に追加できる情報を得た。 千島収集考古資料の実測、図化、属性化がほぼ終了し、資料目録として刊行する準備を整えた。基礎データ部分だけで、200ページを超える分量になることが確定しており、千島地域の考古学研究の基礎資料として重要な価値を持つものになることが期待される。今後、上述した注記の検討による資料情報を加えながら、2017年度の刊行に向けて編集を進めてゆく予定である。 千島出土土器のうち、付着炭化物が確認できた3点の資料について、年代測定を行った。これまで、当該地域の出土遺物を利用した年代測定は実施されておらず、他地域、他文化期との比較検討、当該手法の妥当性の検討など、新たな知見を得ることができた。 この他、他博物館に所蔵されている千島地域収集考古資料の調査・比較検討を行い、情報を整理、報告を行った点、千島・道東地域に特異的にみられる骨角器の出土分布、所属時期などの検討を行い、学会発表を行った点が成果として挙げられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
資料目録刊行に必要な情報整理は予定通り進捗しており、本研究の第一目的である目録の編集は間違いなく終了できる状況にある。 注記の傾向による資料のグループ化については、全資料の調査及びデータベース化後の検討が必要である。調査そのものは予定通り進めているが、期待される成果が得られるかどうかについては、十分な情報が現存しているか否かにかかっており、迅速に検討作業を進めてゆく必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
資料の考古学的調査については、千島地域収集資料の目録化の準備を終えたことから、調査対象範囲を道東地域、サハリンにも拡大し、その成果を本研究課題の対象となっている資料群にフィードバックさせることを目指す。 また、平成25年度に実施する予定でありながら、実施できなかった他博物館の所蔵資料調査を行い、より精度の高い情報整備を行うこととする。 この他、学会・論文発表、根室市の博物館における企画展示など得られた成果の社会発信に力を入れ、将来的な研究者、地域との連携の実現の基盤作りを目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画していた本州の博物館所蔵資料の追跡調査の結果、所蔵資料数や資料情報の付属状況が本研究課題の遂行に有益なものと位置付けるには疑問が生じた一方、釧路地域の博物館所蔵資料の調査の必要性が生じたことで計画を変更した。この調査にあたる予定の研究協力者の業務の都合により、次年度に調査を行うこととした。 また、根室の博物館における普及活動の打ち合わせ、準備を平成26年度に行うこととし、打ち合わせのための旅費を次年度に使用することとした。 従来把握できていなかった釧路地域の資料の調査のために、研究代表者、分担者も同行して調査を行う。 普及活動の質向上のため、研究代表者と協力者との打ち合わせ回数を当初予定の1回から2回に変更する。
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