研究実績の概要 |
調査の対象とした北海道大学植物園・博物館所蔵考古資料のラベル・注記情報の悉皆調査を終え、採集者、調査者による報告及び博物館の管理簿と照合した結果、従来の管理情報として、千島あるいは道東地域の収集資料であると評価されていなかった約30点の資料が当該地域で収集されたものであることが明らかとなった。同時に、誤ったデータが付随する資料が若干存在することも明らかとなり、使用に際しての注意喚起体制の整備も行った。以上の結果、研究期間を通して準備を行った資料の目録に掲載される資料点数は2,000点弱となった。 これらの資料の価値を評価するため、釧路市埋蔵文化財センター、マガダン州をはじめとする千島採集資料及び関連資料を所蔵する機関の所蔵資料を調査した結果、本研究の対象となった資料群が、質・量ともに重要かつ基礎的な資料であることが明確となり、平成27年度に刊行を予定している千島地域採集資料目録の重要性を確認することができた。目録の刊行により、当該地域の考古学および隣接分野の研究が飛躍的に発展することが期待される。 また、平成26年度に根室市歴史と自然の資料館において、本研究によって明らかとなった道東地域の考古学研究の歴史的背景と、北海道大学植物園・博物館の所蔵資料との関係に関するテーマ展示を行った。大学という研究機関に所蔵されている資料が、地域のアマチュア研究者の協力によって充実していることを示し、大学と社会との連携の重要性を示すことができたと考えている。あわせて本研究を遂行するにあたって協力を得た地域の研究者との連携は、北海道大学植物園・博物館及び根室市歴史と自然の資料館の今後の活動に寄与するものと期待される。
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