本研究の目的は、博物館活動に関与する様々な人々の博物館体験の長期記憶を調査することによって、費用対効果や経営効率とは別の観点から博物館の存在意義を明らかにし、博物館評価の新たな指針を示すことにある。地域での博物館活動を50年以上続けている名古屋市科学館と明石市立天文科学館に研究協力を求め、調査研究を展開した。 3年間の研究において質問紙調査及び面接調査に協力いただいた方は、名古屋市科学館では653名、明石市立天文科学館では236名、合計889名である。その内訳は次の通りである。名古屋市科学館の関与者の質問紙調査596名;来館者251名、友の会会員221名、ALC(天文指導者クラブ)会員30名、ボランティア62名、職員32名。名古屋市科学館の関与者の面接調査57名:来館者2名、友の会会員26名、ALC会員9名、ボランティア 11名、職員9名。明石市立天文科学館の関与者の質問紙調査216名;来館者 144名、友の会会員・ボランティア35名、シルバー天文大学参加者31名、職員6名。明石市立天文科学館の関与者の面接調査20名:来館者3名、友の会会員・ボランティア7名、シルバー天文大学参加者5名、現職職員3名と旧職員2名。 研究期間の最終年度である平成26年度では、平成24年度および平成25年度に実施した質問紙調査の量的分析を行った。また、平成25年度に実施した面接調査の質的分析を行った。 更に、各館の運営と位置づけについて、名古屋市教育委員会および明石市産業振興部などに対してヒアリングを行った他、各館の関連資料を調査した。 以上の各種調査の分析を包括的に行った。両館の職員や、主として面接調査の協力者を対象として、両館で「2015「博物館体験の長期記憶に関する研究」報告会」を開催し、参加者と意見交換した。今後包括的な分析を更に進め、学会誌などに投稿する準備を進めた。
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