研究課題/領域番号 |
24501268
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
清水 晶子 東京大学, 総合研究博物館, 技術補佐員 (40447355)
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研究分担者 |
池田 博 東京大学, 総合研究博物館, 准教授 (30299177)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 植物分類学 / 植物標本 / タイプ標本 / データベース |
研究概要 |
東京大学創設期(1877~1900)は日本における植物分類学研究の草創期にあたる。本草学者の伊藤圭介、東京大学教授の矢田部良吉、松村任三、松村を補佐した大久保三郎などが中心となり、分類学研究のため押し葉標本を収集・作製した。これらの標本をもとに多くの新種が日本人の手で記載され、その記載のもとになったタイプ標本やその重複品がその中に含まれている。これらの標本ラベルには学名と簡単な地名が記されているのみで、採集者や採集年月日など標本として必須な情報が記されていないものも多い。しかし、標本の採集・調査の記録は研究雑誌、報告書、日記などに記されている場合も多く、標本とラベルの特徴、文献・資料に基づき、調査の時期や地域を明確にすることが可能である。日本植物分類学研究の草創期に分類学研究に用いられた標本を明らかにするため、標本情報として必要なデータの基礎を明らかにし、標本ラベルに記されていない情報を補完して、標本データベースを構築する。 東京大学植物標本室の標本から明治時代に収集された標本を台紙、ラベルなどをもとに識別し、1)矢田部良吉、松村任三、大久保三郎らの採集品 2)伊藤圭介が関与したとみられる標本、3)同定依頼のために外国に送った標本の重複品などを分けた。また、植物研究雑誌などを調査し、この時期に行われた採集旅行の記録と採集された植物目録について探索を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
標本庫に収蔵されている標本が多いため一点一点をチェックしながらの標本仕分け作業には時間がかかっている。とくに採集年月日の記載のない標本についての判断が難しいためである。文献検索に関しては植物研究雑誌などによりこの時期の採集記録を調査した。すでに博物館でデータベース化されている海洋島植物標本データベース、タイプ標本データベースにより、この時期に採集された標本とそのラベルの調査を行った。
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今後の研究の推進方策 |
標本の仕分け作業は引き続き進めていく。伊藤圭介、松村任三らがとくに重点的に採集されたとみられる科がいくつかあり、これらの科を選択してデータベース化を試みる。また、すでにデータ化されている標本の中から明治時代の標本データを抽出しこれらを対象としてデータベースの枠組みを構築する。
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次年度の研究費の使用計画 |
標本仕分けのためのホルダー(標本カバー)とデータベース入力の際に識別のために標本に貼るラベルなどの消耗品経費(印刷費を含む)と、標本の仕分けと整理、スキャナーによる標本画像入力、文献の整理など、資料整理と画像入力作業双方の補助者の謝金として使用する。
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