東日本大震災の被災地における自然環境や文化財の状況が復興工事などに伴って変化し続けていることなどから、モデルプログラムの内容を被災地の博物館と協議しながら改良したため、自然環境および地域文化利用型博物館教育プログラムガイドブックの印刷が遅れていたが、補助事業期間の延長承認によってプログラムガイドブック「ふるさとまなびナビ」を1000部印刷することができ、陸前高田市、大船渡市、釜石市の小中学校に配布した。ガイドブックは33ページで、掲載したモデルプログラムは13種類である。プログラムは、「みんなで作る!生物マップ」や「潜入!干潟調査隊」のような自然環境を活用したもの、「郷土遺産ガイドをつくろう」や「歌って踊って文化継承」のような地域文化財を活用したもの、「サケをめぐる冒険」や「ため池とぼくらのまち」のような地域と産業を活用したものなど多岐にわたり、小中学校の教員がそれぞれの状況に応じて選択して活用することができる。 体験学習の重要性は広く認識されているが、実施へのハードルは高く現場の教員を悩ませている。本研究で作成したガイドブックは、このハードルを少しでも低くするために、プログラムごとに「学習指導要領との関連」や、そのままでも使える「指導計画書」を載せている。さらにガイドブックをより活用しやすいものとすることを目指し、「化石採集セット」や「プランクトン採集セット」といった学校では準備しにくいものや「虫めがね型デジタルカメラ」「複眼めがね」「双眼鏡類」「聴診器」などの五感に訴える観察用機器などの貸出教材を準備した。他にも図鑑類や放射線測定器、ドローンなど様々な教材を準備しており、モデルプログラム選択を容易にする「おすすめプログラムチャート」も掲載した。 これにより被災地における教育環境の充実が図られ、博物館の復興にはずみがつくことが期待される。
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