本研究は、スミソニアン協会の博物館等、在米機関所蔵の未紹介資料(文献、標本)に基づき、アメリカの博物館や博物館学の受容過程を主題として探求するものである。受容研究を行う際、受容する側のみならず、受容をもたらす側の状況を正確に把握することが不可欠であるし、さらに、相互作用にも着目する必要があるだろう。平成28年度は、スミソニアン気象事業を支えた気象観測者について調査を進め、自然史資料および気象観測資料の収集過程を検討した。 1.ワシントンDCのスミソニアン協会アーカイブスおよび国立公文書記録管理局にて調査を実施し、気象観測者による自然史資料収集の実態を検討した。そのうち、女性観測者の活動については、学会発表を行った。 2.明治初期横浜の米国海軍病院による気象観測の実態および気象観測資料を整理・検討し、論文として完成させた。 3.『アメリカ文化事典』第8章科学技術の「博物館」を執筆した(丸善出版、2017年末出版予定)。 4.博物館学史の方法論について、同アーカイブスの協会史部研究者と意見交換を行った。 5.日本の博物館学史については、[伊藤]圭介文書研究会例会に毎月参加し、本草学/本草会について意見交換を行った。
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