研究課題
平成26年度は、引き続き計画通りに言語資源を収集し、関連研究のサーベイユーザがその興味や関心を具体化・詳細化するのを支援するのに役立つ情報を、ユーザのを進めながら、自由な連想と直感的な操作に対応して示すことができる展示解説ガイドシステムを試作・改良し、その評価を行った。博物館の展示資料などに含まれる単語から、ユーザの興味や関心を具体化するのに役立つ情報として人名・時間・場所・組織・作品・できごとを表すものを機械学習の手法を用いて取り出し、それらの重要度をページランクアルゴリズムを用いて推定した。調査・実験にはwikipediaの見出し語と項目説明文を用いた。そして、取り出したキーワードを「いつ」「どこで」「だれが」などの問いと結びつくように重要度順に示して、ユーザのモヤモヤした状態の興味や関心を自由な連想にもとづいて具体化するのを支援する展示解説ガイドシステムを試作した。大学生20人を対象にした評価実験では、作成したシステムを用いると、興味を感じる説明を見つけるまでに平均 5.3 個(中央値4.5個)のキーワードを選び、平均 3.2 個(中央値2.5個)の段落を読んでいることがわかった。一方、解説文の先頭からユーザが興味を感じる説明がある段落までの段落の数は、平均131.9段落、標準偏差は94.0段落だった。この結果から、作成したシステムを用いれば、展示解説のテキストの先頭から順に読んだり聞いたりしなくても、ユーザが興味を感じる説明に自由な連想にもとづいて簡単にアクセスすることができることがわかった。また、さまざまなできごとが発生する現場(フィールド)として博物館をとらえ、そこでのユーザの気づきの支援やユーザ同士のコミュニケーションの解析や支援する方法についても研究を行った。
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情報処理学会論文誌
巻: Vol.56, No.3 ページ: 1068-1079
International Journal on Advances in Internet Technology
巻: Vol.7, No.3&4 ページ: 161-171