本研究は、日本で最初のユニバーシティ・ミュージアムに対する経年調査である。科研費による3年間の調査は①資料収集、予備的考察②アンケート調査③現地悉皆調査④調査内容分析⑤考察・発表という5段階で展開した。 平成24年度~平成25年度前半までに東日本地域、西日本地域の大学博物館からアンケートを回収、調査内容分析(統計処理、グラフ化)が進み、平成16年度、平成17年度に実施したアンケート調査との比較研究を平成25年度後半から開始した。また比較研究とともに、平成8年の学術審議会学術情報資料分科会学術資料部会「ユニバーシティ・ミュージアムの設置について(報告)」で定義された「①大学院・学部生の教育に参加するとともに、②博物館実習を始め大学における学芸員養成教育への協力をおこなう。また③一般の博物館の学芸員に対する大学院レベルのリカレント教育や、④人々の生涯にわたる学習活動にも積極的に協力することが望ましい」という4つの機能から各々に特性を分析研究した。 平成25年度は文化庁「大学を活用した文化芸術推進事業」の採択を受け、「京都・九州大学博物館連携展」「学芸員技術研修会」、また全国大学博物館学講座協議会西日本部会大会などの開催により、多くの大学博物館関係者との交流が促進したため、様々な情報を収集することができた。 そして、最終年度となった平成26年度は、特にユニバーシティ・ミュージアムを起点とした、学内実習と館務実習のスムーズな連携による学芸員育成機能に関する実証研究に注力した。実証研究の場として、現職学芸員を対象とした学芸員技術研修会や国際講演会を実施し、アンケート調査により学芸員育成の充実方策を検討した。 成果の一部は、日本ミュージアム・マネージメント学会、全日本博物館学会、日・韓博物館フォーラム等で発表した。 今後は、今回の科研費で得られた大学博物館人材育成論の基盤をさらに深化させたい。
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