研究課題
地球温暖化に関連する海洋環境変動の把握には、温帯域での熱帯性魚類の出現状況を分析することが有効である。この観点から、伊豆大島を含む相模湾や駿河湾で活動しているダイビングショップや個人のダイバーから魚類の生態写真を体系的に収集するシステムを構築し、当該年度に6709件の画像をデータベース化できた。研究期間全体を通じて収集できた画像は20263件、画像データベース全体では95519件に達した。これらの画像に含まれる熱帯性魚類について、越冬の目安となる3月から4月にかけての年別出現状況を過去20年間にわたって分析した結果、ハタ科(10種)、ベラ科(8種)、チョウチョウウオ科(5種)、イソギンポ科(5種)など、23科59種を確認できた。多くはある年1回だけの出現にとどまったが、複数年に出現した魚類が6科10種あり、中でもオオモンカエルアンコウ(カエルアンコウ科)、ホカケハナダイとアカオビハナダイ(いずれもハタ科)、クロフチススキベラ(ベラ科)、カモハラトラギス(トラギス科)、ヒメユリハゼ(クロユリハゼ科)の6種は2~3年連続の出現を確認できた。また、ほとんどの年で越冬種は1~5種と少数であったが、2011年と2012年ではそれぞれ13種と21種と突出して多かった。ただし、2011年と2012年の両年に出現した種は、ホカケハナダイ、アカオビハナダイ、カモハラトラギスの3種のみで、2012年に越冬した種が翌年の2013年にも継続して越冬した事例は確認できなかった。このように年変動がきわめて大きい現状にあるが、突出して出現種の多かった年や、同一種が複数年連続で記録された年の海況を他の年と比較することで、海洋環境変動を捉える鍵が見つかる可能性が示唆された。
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