1963年~2013年の期間で梅雨明け前後の気団交替を解析した結果,1976年以前では北上型の正常な梅雨明けが多かったのに対し,1977年以降では前線帯が消滅し不明瞭な梅雨明けが多く,ヤマセ型冷夏も多発した.特に1993年以降は,東日本で梅雨明けが不明瞭となる傾向が顕著であることがわかった.これは研究分担者による再解析データを利用した前線解析結果と調和的であり,温暖化に伴う夏季天候の変容の1つである.東日本では盛夏期に梅雨前線が留まりやすく海水温の上昇と相俟って,ヤマセ型冷夏は湿潤ヤマセとして東北日本の夏季天候に影響を与え続ける.湿潤ヤマセは山岳を超え,広域に影響を与える傾向も確認できた.
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