研究概要 |
地球温暖化による雪氷域の氷河減少や生態系への影響は,世界各地で報告され,深刻化していることは言うまでもない。本研究では,日本国内の湖沼の底層水温上昇と湖水全体の水温変化に伴う結氷現象の変化に着目し,国内湖沼の今後の温度上昇が湖沼環境に及ぼす影響を明らかにすることを目的としている。湖沼の結氷は,水体の物理的な状態変化だけではなく,非結氷による湖水の低温化,生物の生息環境の変化,循環現象の変化による化学的な物質循環等への影響は大きい。この結果から,今後,国内の湖沼の年間の底層水温上昇や非結氷現象,水質変化の特性を見いだし,進行する地球温暖化に伴う日本の湖沼環境の将来予測を評価する基礎資料となる。 平成24年度では、倶多楽湖と十和田湖、田沢湖、本栖湖において鉛直水温水質観測を行った。観測項目は水温,電導率,pH,DO,酸化還元電位,濁度,クロロフィル量の鉛直分布と透明度である。倶多楽湖では、電源設備がないため、IPカメラの設置ができなかったが、レストハウスにロガー型カメラを設置し、11月上旬から現在まで継続して撮影データが得られている。これにより、倶多楽湖は例年よりも早い2013年1月14日に全面結氷したことがわかった。また、倶多楽湖では湖深部に自記温度計を設置した。十和田湖、田沢湖では湖深部に水温計を設置すべく、管理諸官庁へ調査許可申請中で、2013年5月には許可が下り、設置できる予定である。 既存データの収集では、実際の観測湖沼以外にも国内で観測されている必要データの収集を行い,水温と透明度,結氷現象に関する縦断的分析を実施している。しかし、結氷の記録は少なく、データの蓄積が必要であることがわかった。
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