研究課題/領域番号 |
24501293
|
研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
菊地 俊夫 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (50169827)
|
キーワード | 大都市圏近郊農村 / ルーラリティ / リハビリテーション / 上部構造 / 下部構造 / 介在介入構造 / 農村景観 / コミュニティビジネス |
研究概要 |
大都市圏近郊では、都市化や混住化により、農村景観や農村コミュニティが脆弱化し、ルーラリティが不健全なものとして存在している。そのような不健全な状態のルーラリティを回復させ、健全な状態の農村環境を根づかせるリハビリテーションの地域システムを構築することが本研究の目的である。2年目の研究では、東京大都市圏におけるリハビリテーションの地域システムを構築した。地域の上部構造としての景観や環境と下部構造としての自然的基盤、社会的基盤、経済的基盤を結びつける装置としてコミュニティビジネスや異業種との結びつきなどの機能組織の存在を確認した。つまり、下部構造と上部構造のつなぎ手(介入介在構造)としての機能組織を含めた地域システムが仮説として構築された。このようなルーラリティのリハビリテーションに関する地域システムを検証するため内外の地域で実証的な研究を行った。東京大都市圏近郊では、介入介在構造の主要な要素として都市住民との交流が、イギリスのロンドン大都市圏では新住民(都市からの流入者)と旧住民(農家)と協働するコミュニティビジネスが、さらにタイのバンコク大都市圏では農村観光の政策が関わることを明らかにした。さらに、ルーラリティのリハビリテーションに関する地域システムが大都市圏によって異なる理由も検討した。それは、大都市圏近郊における住民属性や混住の親和度、あるいは社会秩序の安定度などの社会環境に基づくことが予想されている。例えば、新住民と旧住民のセグリゲーション(棲み分け)はリハビリテーションの地域システムにネガティブに働き、政策や計画などのトップダウンの介入介在が生じるようになる。以上に述べた仮説は実証的な調査研究を今後も継続して精緻化するつもりである。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東京大都市圏における分析からルーラリティのリハビリテーションの実態とその地域システムを明らかにしており、地域システムのモデル構築まで予定通り進んでいる。ここまで議論してきたリハビリテーションの地域システムの検証も少しずつ進められている。ここで明らかにされた地域システムを精緻化するためには、さらに実証的な研究を異なる大都市圏で進める必要があり、それは次年度の課題としたい。
|
今後の研究の推進方策 |
ルーラリティのリハビリテーションに関する地域システムのモデルを精緻化するため、各地の大都市圏で実証的な研究を進め、検証していく。具体的には、ロンドン大都市圏やシドニー大都市圏、およびバンコク大都市圏においてさらなる実証的な研究を進める。
|
次年度の研究費の使用計画 |
海外における実証的な研究が行えなかったためである。 次年度は、海外における実証研究に時間を割くため、予定通り予算を活用することができる。具体的には、使用計画としては、2014年4月と2015年2月にシドニー大都市圏の調査を、2014年9月にロンドン大都市圏の調査を行う。
|