研究課題
大都市近郊では、都市化や混住化により、農村景観や農村コミュニティの脆弱化し、ルーラリティが不健全なものとして存在するようになっている。他方、大都市遠郊でも、過疎化や高齢化、および商品生産の欠如から、農村景観や農村コミュニティの脆弱化が決定づけられている。このような不健全な状態のルーラリティを回復させ、健全な状態の農村環境を根づかせるリハビリテーションの地域システムを構築することが本研究の目的である。最終年度の研究では、事例研究を行ったバンクーバー大都市圏やシドニー大都市圏、などの事例研究を踏まえて、東京大都市圏におけるルーラリティのリハビリテーションに関する地域システムをモデルとして精緻化し、そのモデルの適応性を実証研究から確認した。リハビリテーションの地域システムモデルは、景観や生活文化や人間活動の上部構造と、自然基盤や社会基盤、および経済基盤の下部構造とで構成され、それらをむすぶつなぎ手としての介入介在構造によって体系化されている。この介入介在構造の関わり方がリハビリテーションの仕方や効果に大きく影響していることがわかった。具体的には、介入介在構造は農家の結びつきの存在形態と関係しており、地域内の農家間の結びつきを示す「ボンディング」と、地域外の組織や農家と結びつく「バンディング」が介入介在構造の重要な仕組みになった。東京大都市圏では、ルーラリティのリハビリテーションが「ボンディング」の仕組みによってある程度進むが、さらに発展するためには「バンディング」の仕組みが加わらなければならない。「バンディング」の仕組みは経済組織やコミュニティの広域化と関連しており、それらの広域化の進展がルーラリティのリハビリテーションを定着・持続させることに大きな役割を担うことになる。つまり、ルーラリティのリハビリテーションは広域化することにより進化することになる。
すべて 2016 2015
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